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もう平和とは言えない冒険の書  作者: 飛鳥 友
第7章 ちび恐竜人たちの逆襲編3
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第101話

                    14

「なんか分らんが、やってみるさ・・・、急いだ方がいいんだろ?

 雨粒弾(レイニー)!!!」

 神尾が両手を高く上げ、天空から大粒の雨を降らせる。


鏡氷(ミライス)!!!」

 その雨粒を神田が操って、薄く鏡面の綺麗な氷に変える。


「フレン・ドアスカメッセ・・・極大寒波(ウルトザード)!!!」

 更にミッテランが、その氷を極低温に冷やし、分厚く補強する。


障壁(バリア)!!!」

「○△□※!!!」

 ついで、ゴランとホーリゥがその氷の下側に障壁を張る。

 ネスリーも今では障壁を張ることは出来るのだが、不慮の事態に備えて身構えるだけにしたようだ。


『ズドン』上から圧迫されるような衝撃と共に、辺りが閃光に包まれ目を開けていられない。

『ドッガーン』上空で、凄まじい爆発音が生じた。


 見上げると、鏡面の氷は半分ほどを残して溶け落ちていたが、それでもビームのほとんどを反射することは出来たのだろう。

 超巨大円盤のイオンビーム砲が溶け落ちて、煙を上げていた。


「やったぞ・・・、敵の主砲を封じることができた。」

 所長が思わずガッツポーズをする。


 損傷したイオンビーム砲が、円盤内へ収納されていく。

 そうして、巨大円盤の底面にいくつもの穴が開き、そこから無数の真っ黒な人型ロボットが降りてきた。


「おおっ・・・、お・・・俺たちの・・・俺たちの魔法が・・・、役に立ったってえことだよな?

 そうだな?」

 神尾が嬉しそうに問いかけてくる。


「ああ、そうだよ、君たちのおかげだ。」

 所長が大きく頷く。


「おお・・・、このことは絶対に忘れないでおいてくれよ。

 後で、嬢ちゃんと姉ちゃんたちに向かって、俺達の魔法のおかげで、危機を脱出できたって・・・、ちゃんと証言してくれよ・・・、頼むぜ!」

 神田も興奮気味に、所長の手を握る。


「あ・・・ああ、な・・・・なんだかわからんが・・・、その時が来たら言ってくれ。

 間違いなく、証言するよ。」


 所長は、何の事か分らなかったが、とりあえず2人の迫力に押されて頷いてしまった。

 神田も神尾も嬉しそうに胸を張っている。


「どうやら、白兵戦に切り替えた様子だね。

 イオンビームの修理が行われる前に、何とか戦局を打破しなければ。

 恐らく同じ戦法は、2度と通用しないだろう。」


 身長3メートルほどの軍刀とレーザー光線銃を構えている人型ロボットに向かって、自衛隊の精鋭たちやミライ達恐竜人兵士たちが果敢に向かって行った。


「ガガ・・ミライ中隊長殿、バームです。ガガガガ・・・・。

 ギリギリバリアーが間に合ったようで、こちらはガガガガ。

 ですがガガガガ電磁波の影響から、通信が困難でした。」

 ミライの装着している無線機に、全滅したと思っていた恐竜人基地からの連絡が入る。


「おおバーム、無事だったか。

 とりあえず、イオンビームの脅威は治まった。

 家族たちは基地地下の避難場で待機させて、全軍至急こちらに向かってくれ。


 どうやら、チビ恐竜人たちのロボット兵士を相手にしなければならないようだ。」

 ミライが、無線機のマイクを口元に落として返事をする。


「分りました、至急参りまガガガガ・・・」

 そう言って無線は切れた。



「お待たせしました。

 我が軍もS国軍も被害は甚大です。

 とりあえず、パワードボディスーツの精鋭と魔術者たちのうち、半数は警戒のために残してきました。


 向こうでの指揮はマイティに任せて、ミンティアと私が参戦いたします。」

 スターツ王子とミンティア王女の外、15名の魔術者と20名の精鋭兵士が加わった。

 更に・・・。


「遅くなってすみません。

 北米に派遣された、モーちゃん達とも今後の警戒に対して打ち合わせてきました。

 向こうでも、既に体の大きな現地魔物たちと接触できたようで、この星の危機という事で一致団結して戦いに参加してくれることになったようです。


 米軍と一緒に各地の警戒に当たってくれています。」

 ハルと、ナンバーファイブも加わった。


 これで現有の兵力は、ほぼそろったという事になる。

 彼らは、続々と追加されていく真っ黒な人型ロボットに立ち向かっていく。

 ハルは、まだ全快とは言えないため、とりあえず所長のガードを兼ねてその場に残ったようだ。



「延々何時間も飛んだ挙句、結局引き返すって何よ!」

 ミリンダがぶーぶー文句を言いながら、先ほどの南洋の島の基地に入ってくる。


「いやあ・・・、周りに何もないもので・・・。

 夜になると視界が効かないから、飛ぶのは危険だよ。


 僕一人だけだったら、そのまま海にでも浮かんでいればいいんだけど、君たちを乗せているから、そんな訳にはいかないだろ?

 波にでもさらわれてしまったら大変だ。


 行けども行けども島影が見えなかったんだから、そのまま進んで海に降りるより、安全を見て引き返した方が無難さ。」

 意外と堅実主義のゴローが、明るく答える。


「ゴローは蝙蝠だから、暗いところでも超音波で飛べるんじゃなかったの?

 生物の時間に習ったわよ。

 それとも吸血鬼の蝙蝠は超音波なんて持っていないの?」

 ミリンダが、尚も悔しそうにゴローに詰め寄る。


「超音波で、周囲の障害物を暗闇でも感知することは出来るさ。

 でも、だだっ広い海原で、荒波の干渉もあるから、超音波では島を見つけることは難しいんだよね。

 やっぱり明るい時じゃなくちゃ。


 仕方なく、海面で夜を過ごして、サメの餌食になるんじゃいやだろ?」

 ゴローは冷静に答える。


「そ・・・そりゃ・・・、このサイズだったら、大きなサメにはとても敵いそうもないし・・・、でも、ここからどこへも行けないんじゃ、困るわよ。

 皆だって心配しているんだろうから・・・。」

 ミリンダが弱った様子で腕を組む。


「ああっ・・・そうだ、こんな時こそ・・・。」

 ミリンダが服のポケットをごそごそとまさぐる。


「あんまりにも薄くて軽いから、存在を忘れてしまうのよね。」

 ミリンダはポケットから折りたたまれた紙片を取出し広げると、それはモニターに変わった。


「ミッテランおばさん、ミリンダよ。

 何とかチビ恐竜人の円盤からは脱出できたけど、転送装置で飛ばされてきたここの場所がよくわからなくて、戻れないの。


 そっちはどう?」

 ミリンダがモニターに向かって話しかける。


「み・・・ミリンダ・・・?

 おお、無事だったのね、よかったわ。


 銀河警察を名乗った奴らもチビ恐竜人たちの仲間で、試技で我々の力を試してその力を無効にする策を講じているみたいね。

 更に超巨大な円盤までやってきて、何とかイオンビーム砲は破壊したけど、苦戦しているわ。


 なにせ試技の時の巨大ロボットが片付いたと思ったら、今度は次から次へとロボット兵が追加されて行っているの、こちらも各地から援軍が来たのだけど、切りがないくらいの状況よ。

 今いる場所は、どんなところなの?」

 すぐに、ミッテランの姿がモニターに映し出され、苦しい状況でも笑顔が見られた。


「うーん、よくは判らないけど・・・島よ。

 九州を襲ってきた頭だけの巨石像が、島の海岸線にたくさんいるわ。

 だから、日本からそんなに遠くはないと思うのだけど、ゴローの背中に乗って飛んでいてもどこまでも海なのよ。


 仕方なく、戻って来てしまったの。

 場所が分って瞬間移動するにしても、小槌でミニサイズになってしまっているから危険だし、困っているのよ。

 チビ恐竜人に奪われた小槌は次元金庫に入れられてしまったので、鬼の能力でコピーすることができないの。


 確か、ナンバーファイブさんが持っていたあれが最後の一つだったはずよね。」

 ミリンダがほとほと弱り果てた様子で話す。


「ちょっと待ってなさい、今、ロボット兵士と戦っている所だから・・・。」

 ミッテランは急いで前線から、後方の所長たちの所へ瞬間移動した。


「恐らくそこはイースター島だろう。

 北へ向かって飛ぶよりも、東へ3000キロほど飛べば南米大陸に着くはずだ。

 小槌の予備はナンバーファイブ君が持っていたから、いずれここへやって来た時にでも、スーツケースから取り出しておいてもらうよ。


 そうすれば、この世に存在するものという事になるから、鬼の能力でコピー可能となるだろう。

 敵の手に渡ってしまったからには、もう隠しておく必要性はないだろうしね。」

 すぐに映像が所長の顔に変わって、島の位置情報が告げられた。


「そう・・・、でもその場所もあたしは行ったことがないから、元の大きさに戻れたとしても瞬間移動は難しいわね。

 第一、ゴローじゃ3000キロも一度には飛べないでしょ。


 ちょっと超巨大円盤を見せてもらえる?」

 ミリンダが、超巨大円盤に興味を示した。


「ああ、最初にやって来たチビ恐竜人たちの円盤や、銀河警察を名乗った奴らの円盤も、あの円盤の底部分に合体しているよ。

 恐らく、別次元に存在していた時は、今の形になっていたのだろうね。」

 所長が、モニターのカメラを超巨大円盤に向ける。


「ふうん・・・、最初に来たチビ恐竜人たちの円盤にあたしは囚われていたのよね。

 ちょっと戻ってみるわね、うまく行けば、超巨大円盤も中から何とかできるかも知れないわよ。」

 ミリンダがとんでもないことを言い出した。


「ま・・・待ってくれ、ミリンダちゃん。

 折角、円盤から逃げ出したんだろ?

 もう一度戻るなんて、危険だ。」

 所長が、焦って引き留める。


「鈴、よしなさい。場所が分ったのだから、すぐに迎えに行ってあげるから、待ってなさい。」

 ミッテランも所長から通信モニターを奪い取るようにして、話しかける。


「大丈夫よ、向こうにもレジ・・何とかっていう、ミライさんたちと同じ地球に昔からいた恐竜人の仲間がいるの。

 彼らも助け出さなくちゃならないし、ちょっと行ってくるわね。」


 まるで、近所に買い物にでも出かけるかのように気楽に答えると、ミリンダは通信モニターを小さく折りたたんでポケットに仕舞い込んだ。


「ちょ・・・、切れてしまったわね。」

 ミッテランが、画面の消えたモニターを手に、茫然としている。



「円盤へ戻りましょう、今なら合体しているから、巨大円盤へ潜り込めるかもしれないわ。」

 ミリンダが、センティア達に振りかえる。


「いや、しかし・・・、僕たちはあの円盤に長いこと暮らしているが、他の世界へ行ったことは一度もない。

 転送装置が使えなかったせいもあるが、恐らくあの状態で円盤同士合体していても、それぞれの半円の世界間での行き来は出来ないはずだ。


 転送装置の緊急避難先となっていた場所がそうなのかもしれないが、だとしたらそこは敵の中心部だろうから、転送先に選ぶのは危険すぎる。」

 センティアはとんでもないとばかりに首を振る。


「大丈夫よ、今の格好を見たでしょ、円盤の上部が下を向いていたわよ。

 つまり、天空ホールの先は恐らく本隊の超巨大円盤のはずよ。」

 ミリンダが自信ありげに主張する。


「そうね、今の接続状態から推理すると、天空エレベーターで超巨大円盤と繋がっている可能性は高いわね。

 だとしたら、行ってみる価値はあるのかも知れない。」

 レーナも尤もだとばかりに頷く。


「うーん分った・・・、このまま場所の分らないところに居ても、何の進展も得られないだろうから、一旦戻ってみるのも手ということか・・・。

 いいだろう、戻ってみるとしよう。」

 センティアも覚悟を決めた様子だ。


「じゃあ、またあたしたちからね。

 ここの装置も、円盤の時みたいに操れるの?」

 ミリンダが、転送装置の扉を開けながらレーナに振り返る。


「大丈夫よ、一度円盤の装置とシンクロさせたから、後は簡単なものよ。」

 レーナは左腕に巻きつけた装置を軽く叩きながら、ウインクした。


 ゴローが蝙蝠になり、縮んだままのレオンともども転送装置の中に入る。

 すると、すぐに装置自体がまばゆい光に包まれた。


                    続く



イオンビーム砲を封じることができたと思ったら、今度は大量のロボット兵。やはり、ちび恐竜人たちの科学力にはかなわないのか。また、せっかく逃げ出した円盤に再び戻ろうとするミリンダの運命やいかに。


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