サッカー部
「おう、裕也。来たか」
「はい」
中学のサッカー部の先輩だ。
こういうとき、知り合いがいるというのは助かる。
「中に入って待ってろ」
裕也は、汗とも土ともわからない独特な臭いのする部室に入った。
臭い。
でもワクワクする。
早く着替えてボールに触りたかった。
新入部員は裕也を含めて六人。
二、三年生で十四人。
高校サッカーの登録メンバーは、たしか二十人だったはずだ。
つまり、今のままなら、数字の上では全員ベンチ入りが可能ということになる。
「お疲れ」
キャプテンが裕也の肩をポンと叩いた。
この人も中学の先輩だ。
他の先輩部員たちもぞろぞろと狭い部室に入ってきた。
ただでさえ臭い部室に、蒸し暑さがプラスされた。
一年生も含めて、部員二十人中半分くらいは、中学のときから知っている顔だ。
よく見ると女子が一人。
キャプテンが紹介する。
「マネージャーだ」
この人数でもマネージャーがいるのか。
いかにも高校の部活らしい。
「二年の遠藤千佳です。よろしくお願いします」
え?千佳姉ちゃん?
千佳は裕也の一歳上の幼なじみだ。
何でマネージャーなんかしてんだ?
千佳は驚いた様子の裕也の顔を見るとニコッと笑った。
「ごめんなさい。遅れました」
もう一人、女子が慌てて入ってきた。
勢い余って練習用のコーンを蹴飛ばす。
「ごめんなさい…」
なんだ?こいつ。
「おいおい、大丈夫か?」
笑いながらキャプテンが気遣う。
「ごめんなさい」
「今日から一緒にやってもらうもう一人のマネージャーだ」
見覚えのある髪型。
肩にもかからないショートカット。
「あっ!」
裕也は思わず声をあげた。
「はじめまして。一年四組の西野遥です」




