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HARUKA  作者: zaku
18/28

ビー玉

 「山下くん、ちょっと…」

 特別講習の休み時間、舞は陵を屋上に呼び出した。

 「相川くん、花火行かないかな」

 「西野か?」

 陵は金網にもたれかかって言った。

 「どうして?」

 「そんなの見てりゃわかんだろ。俺の目はビー玉じゃねぇ」

 「やっぱりわかるよね」

 「あぁ。気付いてないのは、あのバカだけだ」

 「うん…」

 「しかし、こないだは凄い剣幕だったな」

 「だって、相川くんがあんな言い方するから…」

 「まぁ、あいつは昔っからそういうことには鈍感なんだよ」

 「そうなんだ」

 鈍感なのは相川くんだけ?

 舞は言葉を飲み込んで、陵から視線を逸らした。

 「で?」

 「あ、それで、どうしたら相川くんを花火に誘えるかなと思って…」

 「そうだな。まず外出は無理だろうから、見るなら病院の屋上だな」

 「私もそう思ったんだけど、でも、そんなことできるのかな…」

 「花火は八時から。いつも四十分くらいには終わる。で、あそこの屋上に鍵がかかるのは夜の九時。面会も九時までだ」

 「本当?」

 「あぁ。時間的には余裕だ」

 「すごーい。でも何でそんなに病院のこと詳しいの?」

 「俺の母ちゃんが市民病院で事務やってるからな。リサーチ済みだ」

 陵は得意げに右手の親指を立てた。

 「えー?何それ。なんだかできすぎたドラマみたい」

 舞が楽しそうに笑った。

 「あとは、どうやってあのバカを連れ出すか、だな…」

 「だよね…」

 チャイムが鳴った。

 「おっ。やべぇ」

 陵と舞は急いで教室へ走った。

 「ねぇ、一つ気になったことがあるんだけど…」

 階段を下りながら舞が言った。

 「何だ?」

 「さっき言ってた『ビー玉』って、本当は『ふし穴』なんじゃないの?」

 「あぁ?そんなのどっちでもいいだろ。うちの田舎じゃ昔からそう言うんだよ」

 「えーっ。うそでしょ?そんなの聞いたことない」

 「知るか…」

 「山下くん可笑しい」

 「うるせぇな…」

 舞は、陵の耳が少し赤くなったのを見逃さなかった。



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