表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺とあいつの変わった日常2  作者: 龍聖
第一章 新しい日常の始まり
3/12

第2話 帰り道

 今日から高校生活が始まったわけなのだが、早速俺の日常は中学の時までと同じようにはいかないらしい。というのも俺の昔よく遊んでいた幼馴染がこの高校に転校してきたからだ。

 初日から転校生というのはそこまで珍しくはない。・・・なんてことが通じるのは中学までだと思う。俺は高校で転校生なんてあまり聞いた事がない。転校してくるくらいなのだから、何か家庭の事情があるんだろうし、深く追求するのはやめたほうがいいだろうな。

 そして放課後。一年はまだ部活紹介をされていないから部活にはまだ所属できないため、俺は帰る支度をして、よし帰ろう!とカバンを持って椅子から腰を上げた。

 俺が立ち上がると、美緒も立ち上がって俺の腕に抱きついて引っ張ってきた。


「湊、かーえろ!」

「お前、いちいち抱きついてくんなよ」

「いいじゃん、いいじゃん」

「はいはい」


 こんなことはもう日常茶飯事なのだけれど、恥ずかしいからやめて欲しい。言っても直さないし無駄だから諦めているんだけどさ。

 こんなやりとりを美緒としていたら、隣からとてつもなく視線を感じる。ひとつは蓮のニヤニヤした視線だろう。もうひとつは多分葵のだ。


「湊くん、美緒ちゃんとはどんな関係なの?」

「こいつ?ただの従姉だよ」

「あ、従姉なんだ」


 納得したようにうんうん、と葵はうなずいた。

 さっきの言い方に不満があるのか、美緒が頬をプクッと膨らませて拗ねていた。俺としては本当のことしか言っていないし、拗ねられても困る。けど、可愛かったからよしとしよう。


「ただの従姉って何よー」

「だって本当のことだし」

「私達はただの従姉弟じゃなくて、愛で結ばれた従姉弟なの!」


 いくら美緒が俺のことが好きだからといって、何でもかんでも愛で結ばれたとか、そういうことに直結させないでほしい。俺が困る。それに恥ずかしいじゃん。

 このやりとりを見て、蓮がいつものようにニヤニヤしながら俺をおちょくってきた。


「高校初日から良い修羅場になってんじゃん。羨ましいな、このこの」

「うっせえ。こっちは好きでやってるわけじゃないっつーの」


 そう、こっちは別に好きで修羅場に巻き込まれてるわけじゃない。ていうか、修羅場が好きなやつなんていないだろう。

 で、美緒が抱きついてくるのはいつものことだから諦めるとしよう。それなのに・・・


「なんで葵まで俺に抱きついてるの?二人に抱きつかれてたら歩けないんだけど」

「美緒ちゃんが抱きついていいなら私だっていいでしょう?」

「そういう問題じゃなくね!?」


 葵って小さい頃こんな子じゃなかった気がするんだけど。小さい頃は泣いてばかりで、恥ずかしがりやだったから俺に抱きつくってことをできなかった気がする。人ってこんなにも変わるもんなんだなと俺は思った。


「葵、湊が困ってるんだから離れなよ」

「あら、そういうあなたこそ湊から離れたら?あなたが退けば全て解決するじゃない」

「私は湊の従姉だからいいの」

「なら私だって幼馴染だからいいの」


 こいつら・・・。俺を挟んで喧嘩しないでほしい、めんどくせえし。てか、止めるのもめんどくさくなってきたな。


「つーか、葵はなんでそんなにむきになって美緒と喧嘩してるんだよ?」

「はあ・・・。湊はわかってないなあ。流石だな、鈍感男」

「おい蓮、それどういう意味だよ」

「そのまんまの意味だぜ?」


 俺には葵が喧嘩している理由が全然わからなかった。そう思うと蓮に言われたとおり、俺は鈍感かもしれない。


「いい加減に俺から離れてくれ、二人とも・・・」


 本音がつい口から出てしまって、それを聞いた二人はしょんぼりしながら離れてくれた。悪い事をしてしまったかな。けど、なんだかんだでしょんぼりしている美緒と葵が可愛かったと思ったのは内緒だ。

 やっと修羅場が終わり、俺らはカバンを持ち下校をした。太陽は既に沈みかかっていて、夕日の色で染まっていた。

 校門を出て、蓮と別れた後、俺はちょっとだけ気になったことがあったので葵に質問をしてみた。どうでもいいことだとは思うけど。


「なあ、お前って引っ越してきたけど、家ってどこなの?あの時住んでた家は今は美緒が住んでるし」

「えっと、ほらあそこだよ。湊のおじいちゃんが住んでるあのマンション。そこの202号室だよ」

「へえ、あそこなんだ。俺んちから結構近いな」

「そういえばそうかもね」


 そのマンションというのは、俺の家から歩いて約5分くらいのところにある。だから行こうと思えばいつでも行ける距離だったりする。

 話は変わるが、実は俺のじいちゃんはとても凄い人らしい。母さんや美緒の母さんから聞いた話だけど、なんでもファンタジーの世界にいた頃に勇者で世界を救った英雄だとか。向こうの世界と母さん達は言っていたかな。というか、信じられない話だ。けど、それが本当なら俺のばあちゃんが純粋な魔族だというのにも納得がいく。俺の中に1/4だけ魔族の血が流れていることも。

 俺のじいちゃんという言葉が出てきて、不意に思ったのかなんなのかは知らないが、美緒がこんなことを聞いてきた。


「そういえば、湊の家ってちょっと変わってるんだっけ?」

「まあな。例えばだけど、母さんとじいちゃんの年齢が一緒、とかな」

「ありえない話だよね、それ」


 ホントにありえない話だ。どうしてこう、俺の周りは非日常的なんだろう。

 喋りながら帰っていて、気が付いたらマンションの前に着いていた。葵の家はここなので今日はもうお別れだ。


「じゃ、また明日ね、湊。また会えて嬉しかったよ」

「それはお互いさまだ」


 俺ニコリと笑って手を振りながら中に入っていく葵を見送った。見送り終わって美緒と二人きりになった。

 そして二人きりになって、俺と美緒は家に向かって足を進めていた。


「やっと二人きりになれたね、湊」

「そうだな」


 二人きりにやっとなれたのがよほど嬉しかったのか、美緒の機嫌はとてもよかった。その幸せそうな顔を見て、俺は少し微笑んだ。


「うふふ。みーなとー」

「おまっ、だからいちいち抱きつくなっていつも言ってるだろ」

「別にいいでしょー。私は湊のことが好きだからこうするの」

「ったく、勝手にしろ」


 美緒は二人きりになった途端にいつものように俺に抱きついてきた。さっきまで俺に離れてくれと言われてしょんぼりしてたのに。

 いつまでも今日みたいな日常が続けばいいなと無意識に思いながら俺らは家に向かって足を運ぶのだった。





えー、文字数についてなのですが、やっぱり第一話だけではなく、今後も約2000~2500ぐらいにすることにしました。

ころころと細かい設定が変わって申し訳ございません。


以上で報告とさせていただきます。今後も報告することがあったら後書きにて書かせていただきます。

では、またいつかお逢いしましょう

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング よろしくお願いします 
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ