それでも軽いほうがいい
掲載日:2026/03/17
後悔は、物になる。
俺のは、だいたいビニール袋だ。
教室の後ろには、立派な“後悔”ばかり並んでいた。
俺の後悔は軽い。
軽すぎて、嫌になる。
ビニール袋はもう要らないし、
ティッシュは箱ごと欲しいし、
ダンボールは邪魔だし。
昔、みんなが羨ましくて、大きな後悔をした。
友達を殴った。
その時に出てきたのは、やけに立派な靴だった。
履きやすくて、格好も良くて、皆に褒められた。
でもそれを履くたびに、
友達の泣いてる顔が浮かんだ。
それが、ずっと続いた。
靴を捨てて、友達に謝りに行った。
迷ったら、やらない。
やらなきゃ、後悔もしない。
その代わり、何も増えないけど。
——ドサ。
数人の学生が、物を捨てている。
泥で固まった靴と、
破れたぬいぐるみと、
傷だらけの鞄。
どれも、まだ使えそうに見えた。
「……帰るか」
遠くで、またドサッと音がした。
靴をダンボールの上に置く。
足に沢山のビニール袋が引っかかる。
袋を一つ取る。
薄いビニール袋が、軽く揺れている。
まるで、最初から何もなかったみたいに。




