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7話 ルーク・ボードウィン/隠れの村襲撃事件

ルーク・ボードウィン。

ボードウィン家の落ちこぼれと呼ばれていた新人キラー。殺人術(キラーアビリティ)を持っていない非力な男だった。

今日までは!



「いったい何が起きたんだ? 気になるなー! 落ちこぼれじゃないんか!」



「落ちこぼれっていうのはな! 努力してねえ雑魚の事言うんだよ!」



「違うな! 落ちこぼれは使えないオンボロのカスの事言うんだよ! 努力した結果は換算されないんだよ! お前は何がどう転がっても落ちこぼれなんだよ!」



「黙っとけカスが! お前も心の広さじゃ十分落ちこぼれだよ!」



(にしてもこの男トラックしか打ってこない。追尾弾なら他にも使えるものがあるはずじゃないか?)



「あのさ落ちこ…」



チェイサーの口が開いた直後、彼の頭に謎の小型物体がとてつもないスピードで突撃してきた。



「何だこの物体! 突如として現れてきやがった!」



ルークの殺人術(キラーアビリティ)は名称未定。手をピストル状にすることで任意の場所に銃弾を出現させる。

銃弾の強さは口にする擬音によって変わる。



「なるほど。そういう感じか。やっぱり最初から殺人術を使いこなすのは至難の技だ。アダム君は凄いな〜。まぁ今はいいさ。とりまお前殺すな!」



ドッカン!


ルークは遠距離武器のポテンシャルと父親のルシウスの特訓により己の殺人術(キラーアビリティ)の全容を理解した。



(俺の殺人術(キラーアビリティ)の擬音はパン!バン! ドン! ドカン! ドッカン!の5段階! 擬音によって威力や射程範囲が大きく変わる! ドッカンなど強い威力はあまり連発できない。連発した場合は体に反動が返ってくる! 銃弾は身体の取り込んだ脂肪を使う)



チェイサーに使える銃弾は最大威力で換算して10発。ドッカンは3発。それ以上使うとルークの身体が壊死する可能性が出てくる。



「とんでもない威力だ! 避けられるけど! 何だ! 威力上げたらスピードが緩んだな!」



「今のはブラフだよ!」



パン!



(あのデカ玉の背後にスピードのある銃弾を隠していたか! 頭いいな! 倒すよりも時間稼ぎをしているな! 面白い! その遊び乗ってやる!)



「ハハハ!」



チェイサーの武器は追尾弾の車だけではない。フィジカルの強さも高級品。



「グハァ!」



チェイサーの拳はルークの5倍のスピードでルークの腹にパンチを放った。



(速い! なんてスピードだ! カウンターを取ってなかったら風穴が空いていた!)



「近距離までわざわざありがとな! ゲス野郎!」



「どういたしまして! 落ちこぼれボーイ! ん? ありがとうって…」



「最大威力! ドッカン!」



スピードがないなら近距離でぶち込めばいい!



「グボェ!」



ルークの銃弾はチェイサーの体に衝突し、チェイサーの左半身に重傷を負わせた。

しかし、



「つまんねぇ」



チェイサーのスピードは保たれた状態が続いていた。



「グハッ! バン!」



「遅い!」



(スピードが上がった! 彼奴、どういうからくり使ってんだ!)



「遅えな。がっかりだよバットボーイ」



「ハッ!」



ボカン!



「グハァ!」



ルークの身体は殺人術(キラーアビリティ)により消耗が激しい。

その状態でチェイサーのパンチを食らったことで彼のスタミナは大幅に減少し、右半身に風穴を空けた。

しかし、ルークにはチェイサーのからくりを身を持って理解する。



「バン!」



「お前どこ撃って…ハッ!」



ルークの銃弾はチェイサーの背後に向けられていた。



「お前移動中に追尾弾を破壊してたな! 爆風の移動は早いもんな!」



追尾弾が破壊されたことによりチェイサーのスピードが1秒崩れる。その1秒をルークは…

見逃さない!



「ドカン!」



「しまっ!」



ドゴーン!


ルークの銃弾は隠れの村の一部をチェイサーもろとも破壊した。



「やった! これでアイツラの場所に!」



「イヒヒ!」



「は?」



チェイサーは瓦礫の下から無傷で這い上がる。



「終わりだ落ちこぼれ!」



(生きていたのか! 嘘だろ! この衝撃でか!)



「追尾弾! フィーバー! 死んでいいぜ! バットボーイの…」



()()()()()()!」



チェイサーは至近距離で大量の追尾弾を一気に放出する。



「ドッカン!」



バコーン!


ルークの取った最悪の手段。それはチェイサー諸共自爆する事だった。



「馬鹿かよ。自害とか。」



ルーク・ボードウィン。隠れの村襲撃者と交戦後、死亡。享年19歳。アダムの同期で最初の死者だった。死亡現場には小指のみが残されていたそうだ。


そして約10秒後──

アダム・ナイト。現場到着。



「ルーク? 嘘だろおい! ルーク!」



「おや? 新しい雑魚か? あの落ちこぼれに友達がいたとはな! 笑えるぜ!」



「お前がやったのか!」



「ああ、そうだよ。弱かったなー。さっすがボードウィン家の落ちこぼれだな! ハハハ!」



「そうか。一応お前に言っとくよ。俺は元々人を助けたいっていうしょうもない理由でキラーになった。だけど…」



「だけど。何だ?」



「今日で目的が1個追加だ。全身全霊の恨みを込めて! お前を殺す!」



「そうかい! 楽しませてくれよ! まだ遊び足りねえんだ!」



「言われなくても遊んでやるよ! カス!」



「お前もあいつもゴミ虫以下だよ! 坊屋!」



アダム・ナイト。トレイター称号チェイサーとの戦闘を開始。これがアダム・ナイトの…いやキラーとトレイターの関係を揺るがすための最初の扉だった。

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