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6話 覚醒の意図/廃工場殺害事件と隠れの村襲撃事件

なぜこうなったのか俺はキラー本部の前で立ち尽くしていた。


2021年8月25日 18時28分──


裏方の部署にトレイターの大群が侵入。裏方のうち158人が死亡。

そしてレッドフットの死亡を確認。以上本部より。


この事件で俺らキラーは大事な仲間達を大量に失うこととなった。


事が起こったのは俺とルシウスさんの捜査班とレッドフットとルークの情報班に分かれた時からだった。



「ルーク君は確か遠距離武器の扱いに長けていたんだっけ?」



裏方の部署まで向かう途中にレッドフットが呟いた。



「はい。昔から銃とか弓とかの試作品をお父さんが持って帰ってきて、使ってたらここまで伸びてきて」



「自分の武器を持っているっていいね」



「ありがとうございます」



部署に付くとレッドフットさんのデスクに案内された。



「ここが裏方の部署! 通称隠れの村!」



隠れの村は地下にそびえていて巨大な正方形の部屋に大量の裏方達が仕事を行っていた。



「ここに来るのは初めてだよね?」



「はい」



「だったら避難経路の事知らないよね。ルシウス教えてなさそうだし」



「はい。知らないです」



「避難経路と言っても裏方に避難を得意とする奴がいるんだ。ロイド・クリスタっていうやつなんだけどね。いつもあそこの喫煙室にいるから万が一のときはそこに行って状況を話してね」



「分かりました」



「それじゃあ俺は鑑定班にアビリティフットポイントのデータ渡してくるからルーク君は…そうだな。じゃあそこの武器庫で銃でも見て待っていて」



「分かりました」



そう言うとレッドフットさんは鑑定室に走っていった。僕は武器庫の銃を眺めていた。


一方その頃──



「ルシウスさん!」

「何かあった! アダム君!」



「少し残念なお知らせがあります」



「どうした?」



「被害者の服の裾のポケットから名刺が見つかったんですがそれが…」



いつも能天気なルシウスさんの顔が凍りついた。



「まさか…」



「裏方の人達の名刺でした」



「ハッ! まさかそんな事!」



「裏方の人達の仕事着がなくなり代わりに犯人が着ていたであろう服に変わっていたとしたら全ての説明が付く」



「まさか犯人の目的は…」



「そう。犯人の目的は裏方の部署への侵入。そして裏方の抹殺の可能性が高い」



「だとしたらレッドフット達が危ない! アダム君は今すぐ裏方の部署へ! 経路はこのマップ見て。僕は会長達に報告して応援をもらってくる!」



「了解です!」



その頃すでに隠れの村にはトレイターが来ていた。



「チェイサー。この任務を成功させたらキラー側の戦力もかなり下がる。絶対に失敗するなよ!」



「分かってますよ。ディアボロ様。絶対に失敗させません!」



15時ちょうど──


トレイターが隠れの村に侵入した。

ピーポーピーポー!



「ブザーだ! 誰かが中に侵入してきた!」



隠れの村にパニックが襲いかかった。



「やっぱり噛み応えがないな。キラーと違って戦闘経験が浅いからクソ雑魚しかいない」



「お前! こんな事して上が黙っていないぞ!」



「俺に上はいねえよ。死にてぇのか! まぁどっちにしろ殺すけど」



「やめろ! やめてくれ! 頼む! グワァー!」



門番2人の死亡が確認されたとの報告がルシウスの報告より前にゲイリー達に届いていた。



「大変だ! セバス! 今すぐ応援を向かわせてくれ! 私もすぐに行く!」



「了解です会長!」



応援のキラーおよそ190名隠れの村への移動を開始。



「ルーク君!」



レッドフットが大急ぎで走ってきた。



「いったい何があったんですか!」



「何者かが隠れの村へ侵入してきた! このままだと全員殺される! だから…」



ブシャー!


鈍い鉄の音と血が噴き出る音が同時に聞こえた直後にレッドフットさんの頭部がなくなっていた。



「あーぁ。こいつが最大術所持者かよ。大したことねえな! おっとお前! 見たことあるぞ! ボードウィン家の落ちこぼれのルーク・ボードウィンじゃねえか!」



目の前に現れた男の殺人術(キラーアビリティ)を見てすぐに理解した。



「廃工場の殺害事件。あれお前の仕業だろ!」



「廃工場? あぁあぁ! あの時の奴か! 変装用の服が欲しくて殺した奴らのことか! そんな大事になってたの?」



「お前! とことん無責任なやつだな!」



「お前とか言わないでくれよ。一応名前っぽいやつならあるんだ。俺はトレイターの10の番! 称号チェイサー! 以後お見知りおきを」



(称号? トレイターの10の番? 何いってんだこいつは! ともかくどうする? 逃げるか? それとも交戦するか? 考えろ! 考えろ!)



「先に考えることをお父ちゃまから教わってきたのかな? のっろいやつだな! そんなんでキラー務まんの!」



チェイサーはトラックをルークに向かって高速でぶっ放した。



「嘘だろ! こんな物理法則ガン無視の動きしてくるとか聞いてねえぞ!」



「僕の殺人術(キラーアビリティ)追尾物(トラッキング)! 自分の手から放出した物を飛ばし追尾弾にする。速さも自由自在! なめてかかったら死んじゃうよ?」



(こいつ反射神経が常人の常識を明らかに抜け出ている! おそらくこのまま闘ってもすぐに負けて死ぬぞ!)



「大人しく死ね!」



その直後に現れたルークの記憶。



「なぁルーク」



「どうしたの? お父さん」



「お前は僕と違って殺人術(キラーアビリティ)をまだ使えない。だけど覚醒する時の絶対条件ってのがクリアされた時にお前の殺人術(キラーアビリティ)だって使えるようになるかもしれない! それだけは覚えておいて」



「でもお父さん。覚醒の絶対条件って何?」



「それはね! 自分がやりたい事を命がけで果たせると心が判断する事! 自分じゃ分からないかもしれないけれどとりあえずやってみ!」



「そうだな父さん。俺の今の目的は裏方の人達を助けることだよな。その目的は絶対に、果たす!」



(何だ? 急に落ちこぼれの体が光りだした? どうなってる! おかしいぞ! 殺人術(キラーアビリティ)を持っていないんじゃなかったのか!)



「最初に言おう! 俺の名はルーク・ボードウィン! 今からお前を、殺す男だ!」



殺人術(キラーアビリティ)の覚醒はいつ、どこで、何をしているか関係なしにいつでも起こる可能性がある。

今、ルークの殺人術(キラーアビリティ)はルークの裏方を助けるという目的の達成のために突如覚醒を始めた。



「お前の殺人術(キラーアビリティ)追尾弾(トラッキング)とか言ったな! だったら同じ遠距離同士…」



「仲良くしようぜ!」



隠れの村襲撃事件! 開幕!

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