2話ライトナイト/1次審査
あれから俺は家に帰った。
1週間後には何があるのだろう? もう家には帰れなくなるのは勘だけと分かる。
てか親父、帰ってこねえな。まあいつも帰りは遅いけど。
「あ、帰ってきた」
親父はいつもは深夜まで帰ってこない。母が死んでから1人で働き続けてきた。キラーになれ! って押し付けまくってきた事以外は自慢の親父だ。
「アダム、帰ったぞ! いるか」
「おう親父! お疲れ様! あのさちょっと話したい事あんだけど」
「おう! どうした?」
「ちょっと場所変えようぜ。結構大事な話なんだよ」
「じゃあちょっと散歩でも行こうぜ! アダム」
俺と親父は大通りに散歩に出かけた。
「それでなんだ話って?」
「あのさキラーにあったんだよ。今日」
「お前マジで言ってんのか! 何で生きてんだよ! キラーに出くわして生きてるなんて! お前まさかトレイターに会ったのか?」
「そのまさかだよ。トレイターに出くわしてアニエス刺されて僕も攻撃された」
「まさかお前、覚醒したのか。ダークナイトの力が」
「なあ親父。あの血でできた小刀は何だったんだ」
「あれは殺人術。昔のキラー達が手に入れた詳細不明の力。殺人術の1番大きな特徴は覚醒しないと使い物にならない事。そして血族に受け継がれる事。覚醒は10年以上の特訓。または命の危機に瀕した時に発作的に覚醒する場合がある」
「そうなんか。ありがとう。教えてくれて。それで覚醒した後そのトレイターを刺したんだけどその瞬間キラーが俺らを助けに来たんだ。名前はルシウス・ボードウィン」
「ルシウス・ボードウィン。聞いたことがある。確かそいつ現在最強って言われてるキラーだぞ! 凄えのが助けに来たんだな。」
「それでルシウスさんの事を見て俺思っちまったんだよ。キラーになりたいって。人を助けるキラーになりたいって」
「それは本当かアダム? お前あんなにキラーになりたくないって言ってたに」
「本当だよ。それで親父。俺1週間後にルシウスさんと大通りに荷物まとめて行く事になっちまったんだけどさ。行ってきていいか? 多分もう帰ってこれなくなるんだけど」
「そうか。お前もいなくなるんだな。何だか寂しいな。だがお前の決断をここでやめさせたら親失格だよな。いいぞ行ってきて。キラーになってこい!」
「ありがとう親父! 今まで苦労かけて悪かったな。本当にありがとう」
「だが1つだけ条件がある」
「何だ親父。条件って?」
「アダム。お前はダークナイトの名を継ぐな!」
俺は困惑した。
あんだけダークナイトの名を継げ! って言ってた親父がまさかこんな事を言うなんて思ってもいなかった。
「何でだよ親父! ダークナイトの名を継いで欲しかったんじゃ…」
「俺も最初はダークナイトの名を継いで欲しかったんだ。だけどさ俺、お前と過ごす中で気づいちまったんだよ。アダムはダークナイトなんて闇に隠れる名前よりも光に包まれたキラーになってほしいって。だからアダム! ダークナイトなんてならなくていい! お前は…」
「ライトナイトであってくれ!」
「親父…分かった。俺、絶対キラーになっていつかまたライトナイトとして帰ってくるよ!」
「おう頑張れよ!」
そしていつの間にか1週間が過ぎた。
俺がキラーになるその日が…
「ようアダム君!心の準備はいいかな!」
「はい、ルシウスさん!」
「よし!じゃあおいでここが…」
「キラーの本拠地だよ!」
僕は思った。まさかキラーの本拠地がこんなオンボロなビルなんて思っていなかった。
「君今、この廃ビルがキラーの本拠地なわけないだろって思ってたよね?」
は…バレた。マジで言ってんの!
「って思ってたよね?」
「思ってないです!」
「いや絶対思って…」
「思ってないです!!」
「あ、じゃあ思ってないでいいよ」
(圧すげぇ!)
「でもアダム君! こんな廃ビルに本拠地を設定するわけないだろ! ここはただの入り口だよ!」
「よーく見てなさいアダム君!」
「転送扉オープン!」
へんな禍々しい丸い扉が目の前に現れた。
「アダム君これは転送扉。この扉は国内でも3カ所しかない。どれも下水道だったり今回みたいに廃ビルだったり人があまり近づかない場所に設定されている。じゃあくぐってもらえる?」
「あ、分かりました!」
そして僕は転送扉をくぐろうと近づいた。
「あ、そうそう忘れてた。そのゲート、頭から入ったら落下中に酔うよ」
「え?」
(もうちょっと早く言ってください!)
「OK着いたね! 大丈夫だった?」
「大丈夫じゃないです!」
僕は頭からゲートに入ってしまい酔いまくっていた。
「もうちょっと早く言ってください」
「ごめんごめん。慣れちゃってたから忘れてた。それはそうとここがキラーの本拠地だよ」
凄い! 周りには大量のキラーにロボットで溢れ返り、さっきの廃ビルとは比べ物にならない綺麗な空間が広がっていた。
「凄いですルシウスさん! こんな綺麗で大きな空間がこの国にあるなんて!」
「ここは昔使われた洞窟を改造した所で山の奥深くにあるんだ! だからこんな空間があっても誰も気づかないんだよ!」
「それでルシウスさん。僕はこれからここで何をするんですか?」
「まずキラーになるには試験が必要なんだ。確か僕の頃は面接だけで終わったよ。だけど侮っちゃだめだよアダム君! 面接官のキラーの会長は中々手強いから! 一筋縄じゃいかない!」
「はい! 頑張ります!」
そして僕は面接会場のオフィスに行った。
コンコンコン
「失礼します。今日1次審査を受けに来ました。アダム・ナイトです。本日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくねアダム君。それじゃ席についてくれ」
この人が会長のゲイリー・トマスさん。ルシウスさんが過去一の会長って言ってたけどどうゆうことなんだろう。
「先に言っておくが私はあまり沢山の質問はしない主義だ。ただ一個一個の質問の回答はすべて覚えている。アダム君は知らないかもしれないが、今日キラーになる為に世界中から試験を受けに来た人達は約10000人もいる。しかし、合格できるのは1000人だけだ!君はその1000人に入る為に君の人生を見せてくれ!」
「はい!」
「それじゃ最初に聞こう。君はなぜキラーになりたいと思ったんだ?」
「はい! 僕がキラーになりたいと思ったのは実は1週間前なんです。僕は父親が4代目ダークナイトなのでキラーの話は聞かされていました。だけど父はキラーになって人を殺せ! とかダークナイトの意思を継げ! としか言わなくてそんなんで人は殺さないって決めていました」
「なるほど。それで1週間前に何があったんだい?」
「1週間前に僕はトレイターに友達と襲われました」
「トレイターに襲われたのか!」
「はい。その時、僕は命の危機にひんしてずっと武器を求めました。そんな時に僕の殺人術が覚醒しました」
「死に際のあがきで覚醒したパターンだね」
「はい。おっしゃる通りです。しかし、1回目はまぐれでトレイターに当たったもののその後はいきなりのことでパニックになってしまいました。そんな時に僕を助けにルシウス・ボードウィンさんが僕の前に現れました」
「あ、あのルシウス・ボードウィンがかね?」
「はい。あの現役最強のキラーのルシウス・ボードウィンです。そして助けてくれたルシウスさんを見て僕は思いました。あぁキラーは人を助ける職業だって。僕もキラーになって人を助けたいって」
「なるほどね。キラーになる決意はあるね?」
「はい! 僕はキラーになる覚悟をもってここに来ました。それに僕は簡単にキラーを裏切るトレイターには絶対なりたくありません!」
「ありがとう。君の決意が聞けて嬉しいよ。それじゃ最後の質問だ」
(思った以上に質問少なかった!)
「これはアダム君にしか聞かないよ。アダム君、君はダークナイトを継ぐのかい?」
僕の中でもう答えはでていた。
「僕はダークナイトにはなりません。僕が目指すのは闇じゃなくて光のキラー。ライトナイトです」
「ライトナイトか? 素晴らしい! ダークナイトの血族でも自分の道をゆくその根性! 合格だ! 2次審査に進んでくれ!」
「はい! 分かりました。ありがとうございま…」
パン!!
会長が手をたたいた瞬間、僕は屋外に出されていた。
(ここはどこだ? さっきまでオフィスにいたよな。何で屋外に?)
「諸君! よく1次審査を突破した。これから行う2次審査はここにいる10000人で殺し合いをしてもらい、1000人まで人数を減らす! これは君達の実力を見定める試験だ! それではこれより2次審査実技試験!」
「開始!!」