16話 青春悲劇(7)
「ヘレン吸い込んでどうする気だよ? ディアボロ」
「まあ目的の手段を増やすんだよ。分かるだろ。人間はみんな自分の国が欲しいんだ」
「俺とアネモネは欲しくねえよ! 国なんてな!」
「そうか、すまないね。君達みたいな凡夫には私の考えなど分かるはずがないか。だけど人間はみーんな考えているはずだ。国が欲しい。自分が王でありたいとね。私はそれを叶えるんだ。だから君達には…」
「死んでもらおう」
ディアボロが言葉を放ち終えた刹那、ルシウスとアネモネの脳内によぎった死への危機感。彼らは感じていた。絶対的王の誕生を。
ドッカーン!
ディアボロの放った拳がルシウスの身体に直撃した。
「グハッ!」
(殺人術無しでのパワーでこれか! こんな化け物初めてだ!)
「アネモネ! 封印寺は?」
「残って刺客と戦闘中。こっちはやんぞ!」
「おう!」
「面白いね、君達。その遊び、ノってあげよう」
「殺人術。錬金」
「植物化! リーフスパイク!」
殺人術、錬金。
自分の触れた鉄を好きな物に変える力。彼が選んだのは拳銃と銃弾。
一方のアネモネが飛ばしたのは葉のスパイク。攻撃力は断トツでディアボロが格上。
しかし、
「仮称インフェルノ、小規模発動!」
リーフスパイクがディアボロの銃弾をくぐり抜け本体に直撃した瞬間、仮称インフェルノでリーフスパイクが燃やされディアボロを焦がす。
「遊びっつったな! だったら遊んであげるのは俺らだ! くそカス! おい! 喋れねえか! 雑魚じゃねえかよ!」
(よしこれで封印寺の応援に…)
「爆発」
「ハッ! アネモネ避けろ!」
「マジかよ!」
殺人術、爆発による大規模爆破がアネモネとルシウスに直撃した。
3人全員が感じている死への道。一歩間違えれば即死の戦闘場所に彼らは立っている。
「あっぶねえ!」
「根の守りが切れた! 当分アネモネが使用できねえ!」
「チッ! マジいな!」
一方、封印寺は…
「封! からの…印!」
(さっきよりもダメージが大きい。結界が壊れた影響か。まあいい)
「結界を再度作り直せばいい」
テラス・スピードは結界を作ろうと条件の可能性を醸しつつ両手を合わせようとする。
しかし、
「封」
(動かない。まさか、結界の発動を見越して先に動いていた!?)
「印」
封印寺の印はテラス・スピードの両手を破壊した。
「しまった!」
「油断禁物だぞ。ジジイ」
「まだ負けたわけじゃねえし、勝利のサイレンは未だに心の中で鳴ってんぞ」
「じゃあ死に場所までの非常口に連れててってやるよ!」
「じゃあ俺も殺人術を解放するか」
「は? 結界作りが殺人術じゃねえのか? 武装してんのが一番の証拠だろ?」
「これはカモフラージュだ。武器を持つことでこう動くことを隠すことができる。殺人術 重力」
テラス・スピードの殺人術は重力を操る。
そしてこの結界はテラス・スピードが作り出した人工的なブラックホール。
「グハッ!」
(何だ? 身体が重くなった! なるほど重力か! キラー元老院が死刑執行人にいつも使っているのも頷ける!)
「どうだ。重いだろ。だけどお前が初めてだよ。致死量の重力に耐えられる奴は」
(どうする! この調子だと重力に押しつぶされて死ぬ!)
「お前は強かったよ。だから死んでくれ。これからの俺への平穏の為に」
「お前、名前は?」
封印寺がテラスに問いかける。
「テラス・スピード。いい名前だろ」
「そうか。テラス、お前はもう少し、調べる事を覚えておいたほうが良かったな」
「どういう事だ」
「じゃあテラスに問題だ。俺の殺人術は?」
「身体動かなくする封と爆発の印だろ」
「そう、ただお前の回答は不正解だ。俺の殺人術は3つ。まあ見てろ」
「何する気だ。死ぬ前の悪あがきか?」
「天上天下唯我独尊」
封印寺がそう言い放った直後、地面がぬかるみテラスを底なし沼が襲う。
「ハッ! 何をした!」
「俺の最後の殺人術は封印。さっきみたいに呪文を唱える事でお前を底無しの地面に埋め込み封印する」
「クソが! キラー元老院が黙ってないぞ!」
「キラー元老院は殺せるよ」
「ふざけんな! カス!」
「カスはお前だよ。バカが」
テラス・スピードは封印寺により完全に生き埋めにされた。
これによりブラックホールの結界が破壊される。




