12話 青春悲劇(3)
1週間前──
私の名前はヘレン・ワトソン。親は死んだ。私ははロンドンの大学に在籍していた。
そんな私は親を亡くして身寄りのない少年のルーク君という男の子を拾い育てていた。
この日、私はルーク君を連れてネス湖という湖まで遊びに行った。その時、湖の中心を歩く私は光る妖精のような女の人を見た。
「何あれ? 何で人間が水の上を歩いているうえ、あんなに光っているの?」
私は神秘的なその光景を見て不気味だとも感じた。
金色の長髪で青色の瞳が私の方を睨みつけている。
ただ、なぜかルーク君にはその女の人が見えなかった。
その後、女の人は私の目の前に1回も現れなかった。
でもその後から私は変な事、他の人には出来ないことが出来るようになっていた。
自分の今までの…19年の記憶を見ることが出来た。そしたら昔死んだお母さんの手料理が見えた。私は思わず手を触れた。そしたら気づいた時には記憶の世界から抜け出していて目の前のテーブルにお母さんの手料理が出ていた。
私は夢だと思った。でも現実だった。
私は自分の変な力に心底驚いていた。
最初は他の人と違う力のある自分が誇らしかった。
でもすぐにその力が嫌いになった。
次の日の帰宅時間──
「あ〜今日も疲れた〜ルーク君大丈夫かな?」
今日は夜遅くまで大学にいた。外はもう真っ暗だった。
私の家は人通りの少ない郊外にある。
ちょうど人気のない場所まで来たときにあの男が現れた。
トントントン
私の足音に合わせて後ろから別の足音が聞こえてきた。
「やあ、ヘレン・ワトソンって君のことかい?」
1秒も経たない間に私の隣に知らない男が現れた。
「だれ? あなた?」
「私の名前は、そうだな〜一旦キラー殺しとでも呼んでくれ」
「キラー殺し?」
「そうそう。あ、勘違いしないでね。変な思想強いストーカーって訳じゃないから。私は君の殺人術 記憶の欠片を貰うために殺しに来ただけの、ただの殺し屋だよ」
「殺し屋…?」
「そうそう殺し屋。物分かりが良くて助かるよ」
「待って! 人違いじゃないの! 私はその殺人術 記憶の欠片? なんか知らない!」
「そりゃ知らないだろ。最近覚醒したばっかりっぽいし」
「覚醒? 何のことよ!」
「悪いね。専門用語ばっかりで。まあとりあえず…」
「さっさと死んでくれる?」
ボン!
私の頭をキラー殺しと名乗る男の拳がかすめた。
「おっと。当たらなかったか。やはりこの殺人術は手に入れたばっかりで使い慣れない」
(手に入れたばかり? この男はさっきから何を言ってるの!)
私はその時に死を確信した。でもその時──
「ちょっとお前さん! 何をしてるんだい!」
たまたま通りかかったお婆さんが私を襲う男の姿に気づいた。
「何だただの婆か。邪魔しないでくれ。やりたい事があるんだ」
「やりたい事がある! 何を言ってるんだい! その子嫌がってるだろ! 今から警察呼ぶから!」
「うるさいな。殺されたいのか!」
男はお婆さんの方に向かった瞬間、私は気配を殺して走った。安全なところまで。
「よーし! 婆は死んだかな。じゃあヘレン・ワトソンを…って逃げたか。まだ家特定してねえんだけどな。仕方ない。今日は諦めるか」
その後、私は家に帰った。まだ上手く息ができなかった。その後あの男が口にしていた言葉色々調べてみた。
「何? キラー殺しって? そもそもキラーって何?」
ネットで調べてみたら変なサイトが引っかかった。
「キラー公式サイト? 貴方を助ける殺し屋です? 依頼解決ならお任せ下さい? どういう事?」
私は恐怖も感じたがそれよりもサイト通りなら私の事を助けてくれるかも知れないと言う希望の方が高かった。
私は全てを賭け依頼文を送ってみた。すると、本当にキラーと言う人達が来た。
「ヘレン・ワトソンさん宅で合ってますか? 依頼を承りましたキラーです」
「はい。少々お待ち下さい!」
私は扉を開けた。
「こんにちはヘレン・ワトソンさん。キラーです。キラー殺しに襲われたので保護してほしいと言う依頼でしたよね?」
「はい! そうです!」
「分かりました。では依頼文の通りだと一時的に我々のもとで保護する事が必要になるのですがよろしいでしょうか?」
「大丈夫何ですけど、私1人子供を引き取っていて一緒に連れて行っても良いですかね?」
「勿論大丈夫ですよ。それではこちらの車にお乗りください」
「分かりました」
私はルーク君と一緒にキラーの方々の車に乗って目的地へと向かった。
その後、私達は古い廃墟に車を止めた。
「すみませんが規則上キラー協会への入り方を一般の方に教える事は出来ないので目を瞑って前へお進み下さい」
私とルーク君は言う通りに前へ足を進めた。
すると、変な音が耳元で鳴った。
「目を開けて下さい」
目を開けるとそこにはさっきまでいた場所とは全く違う建物と景色が広がっていた。
「何ここ!」
「ここはキラーの中心施設。キラー協会です」
「こんなところがイギリスにあるなんて!」
「人目に付かないところに建築してあるので一般の方々が発見するのはまず無理ですから知らないのも当然かと」
「それで私はこれから何処へ行けばいいんですか?」
「ワトソンさんにはこれからしばらくはキラー協会の医務室にて保護を受けてもらいます」
「分かりました。そういえば依頼は貴方達が受けてくれるんですか?」
「いえ、私達は裏方なので依頼は受けないんです。ワトソンさんの依頼は他のキラーの方が受注してくれます。なのでキラーが確定するまでしばらくお待ち下さい」
「分かりました。何から何までありがとうございます」
「大丈夫です。『世界の人々に裏からの平和の手助けを』が我々キラーのスローガンですので」
こうして私はキラー協会という所で保護されることになった。あの後、私の殺人術と言う不思議な力についてや事件当時の状況等を裏方と呼ばれる人達に話した。
これで私は助かると信じて…
一方、キラー教育学部の闘技場にて
「おら!」
「弱い!」
「グボッ!」
ルシウスと封印寺が特訓を繰り返していた。
「ルシウスの拳は素だと結構弱いね」
「悪いかよ」
「力が弱い事が悪いことじゃない。ただお前なら殺人術利用して身体能力上げれるんじゃないかな? と思って」
「どゆこと?」
「ルシウスの殺人術って負の感情を力に変える負の魔法だろ?」
「おう」
「てことはルシウスがいつも一定の負の感情を体に溜めていればストレスにはなるけど身体能力は大幅に上昇するんじゃね?」
「たしかにそうかも知れねえけど、いつも一定の負の感情を体に溜めるってどういう感じにやればいいんだ?」
「そうだな〜例えばキラーって普通の人殺しと違って犯罪者みたいな悪い輩殺すのが仕事だろ」
「うんうん」
「てことは常日頃から依頼人や被害者の悲しい出来事を聞いて仕事する訳よ」
「ホウホウ!」
「なら依頼人や被害者から溢れる負の感情が俺らキラーにも溢れて覆いかぶさる訳よ。その覆いかぶさった負の感情をルシウスが殺人術で力に変えちゃうとか?」
「封印寺、それナイスアイディア! だけどそれだと依頼によって力の振れ幅が大きくならないか?」
「確かにな〜」
「アネモネはどう思う?」
「え! アネモネいたの?」
「ずっといたよ! ずっと『あれ気づかないな? 話入っていいのかな?』とかずっと思ってしゃがんでたわ!」
「影薄すぎて気づかんかった!」
「酷くね封印寺!」
「まあ確かに影は薄いよな」
「ルシウスまで!」
「まあまあ落ち着けよ! 2人とも気付いたわけだし!」
「まあそれもそうか」
「で、どう思う? アネモネは?」
「そうだな〜ルシウスは人の負の感情を力に変える…てか操るんだろ?」
「そうそう」
「だったら戦闘時は一定の人への恨みを思い出すとかどうよ!」
「お! それ良くね!」
「確かにそれだったら振れ幅を大きくすること無く一定の力を維持できる! 流石だな〜アネモネ!」
「まあそれほどでも〜」
「そうと決まれば今日は徹夜だ!」
「おし、ビシバシ鍛えてやる!」
「へ?」
「勿論?」
「アネモネも?」
「やるよな〜!」
「あ、はい、やります」
「そうこなくちゃな〜」
(この2人が揃うと良いことがないよ〜)
こうしてルシウス、封印寺、アネモネの特訓が始まった。ルシウスとアネモネのキラー試験の結果は如何に?




