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10話 青春悲劇(1)

明けましておめでとうございます

10年前。

まだルシウス・ボードウィンが最強と呼ばれる前のイギリス。キラー教育学部。キラーの候補生を育てるキラー協会の学校。

この世に名を残すキラーの90%がこの学校の出身だ。その中でも10年前はキラー御三家であるルシウス家長男のルシウス・ボードウィン。


日本の陰陽師の家系出身の封印寺涼介。


イギリスの裏社会を牛耳るマフィアの跡取り息子のトーマス・アネモネが同時に在籍していた光の世代と呼ばれた時代。

これはその時に起きた最悪の事件の物語。



「それでは1限目の授業を始めるぞ〜っておい! ルシウス! 何やってんだ!」



「あぁwエス爺ごめんごめんw」



ルシウスは机に足を乗せてイヤホンで音楽を聴いていた。そう、ルシウス・ボードウィンの少年時代は超が付くほどの問題児だったのである。



「お前は本当に…キラーになる気あるのか?」



「まあ一応ありますよ」



「一応って何だ! 一応って!」



「家になれなれ言われてるだけなんで、自分で願ってなりたいのか! って言われたらちょっと微妙っすね〜」



「ったく! じゃあ話を戻して授業を始めていくぞ! 今日は教科書28ページを開いて…」



「ルシウス。真面目にやれよ!」



「うるさいな〜アネモネは〜」



「お前の為に言ってるんだぞ! キラーになったらこういう授業で習うキラーの決まり事やら大事な施設やらの知識が大事になってくる! お前も将来の事を考えたらどうだ!」



(アネモネってマフィアの跡取り息子の割には真面目で良識あるよな〜マフィアの英才教育ってどんなかんじだったんだろうな〜?)



「こら! 2人共うるさいぞ! 真面目に授業聞けよ!」



「あ、すいません」



「やーい! アネモネも怒られてやんの〜!」



「お前もだぞルシウス!」



「は〜い! すんませ〜ん!」



3人の担任であるエス爺ことエスワー・パクウィッチ。

当時57歳のベテランキラーであり、エスワー式魔法陣の製作者である。エスワー式魔法陣とは殺人奥義(キラーミステリー)などから身を守る事のできる魔法陣を展開するキラー護身の術の1つ。

習得難易度が高くエスワー・パクウィッチ直伝の塾に通うか本人の指導を受けるかで習得することができる。つまりルシウスはそんなエグい人にあの態度を取っている。



「フワァ〜やっと授業終わったよ!」



「ルシウス〜学食食いに行こう!」



「いいよ〜てかアネモネ? 封印寺どこ行った?」



「あぁ〜…」



(封印寺確かもう仕事行ってたよな〜あいつだけもうキラー研修行ってるもんな〜ただこれ言うとルシウス面倒臭いよな〜よし! 無視!)



「アネモネ?」



「知らん!」



「アネモネ〜?」



「知らん!」



「あ、そう…」



(頑なに言わねえ〜怖〜)



「てか学食行くぞ! が・く・しょ・く!」



「あ、はい。分かりました」



封印寺涼介はルシウスやアネモネと同学年だが一足先にキラー試験を受けてストレートで合格した天才。

現在はキラー協会直属のキラーとして活躍中。ただし、ルシウスはその事を知らない。

理由は負けず嫌いなルシウスがこの事を知ったら面倒臭いよな〜というアネモネとエス爺の意見があったからである。



「そういやアネモネ? お前この後俺と一緒に学長室来いって言われてんだけど聞いてる?」



「え? 聞いてないよ?」



「マジかよエス爺め!」



(それお前が言うの前提だろ…)



「てか聞いたか最近噂のキラー殺しの話?」



ルシウスがアネモネに問いかけた。



「あぁキラー殺しね。でも噂だろ?」



「でも実際に被害者も出てるじゃん。この前だってバーニングとか言うキラーがキラー殺しに殺されたとか言われているし…」



「それだって単純に任務中に殉職したのが上乗せされて噂になっただけかも知れないし…」



「まあ噂は噂だ。俺ら学生の気にすることじゃないだろ」



「まあそれはそうだけど」



キラー殺しとは1ヶ月前から2日おきにキラーを殺している殺人鬼でキラーの最重要指名手配犯である男の都市伝説。

本当かは分からないが、キラー殺しの都市伝説が出てからバーニング、ワープ、スリーパー、ウォーターフォール等のキラーが立て続けに殺害されているか行方不明になっている。

その後、ルシウスとアネモネは学食を食べ終わると学長室へ向かった。


コンコンコン!



「失礼します!」



アネモネが学長室の扉を開けた。


「どうぞ。入って」



学長の名前はゲイリー・トマス。現会長だ。



「あれ? ルシウス君は?」



「あいつは…トイレですって」



「いつも通りだな」



「はい。すいません」



10分後



「コンコンコンココンココン!」



「口で言わないで開けんかい!」



ルシウスが普通に来た。どこが普通だよ! というツッコミはまあ…気にしないで…大丈夫です…よね?



「失礼しゃーす!」



これがルシウス(17歳)の普通である。



「それで学長。何で貴重な貴重な昼休みに俺ら2人を呼び出した訳?」



「それでは本題だ。今現在、君達2人がどのような異名で呼ばれているか…知っているかい?」



「確か…光の世代、ですよね?」



「そう、光の世代はルシウス君、アネモネ君、そして…」



「俺の3人の事を指す呼び名だ」



「封印寺!」



学長室の端から封印寺が現れた。



「お前! いつの間に帰ってやがった!」



「ん? 帰ってくるってどういう事だ?」



「あ!」



「は? アネモネ言ってないの?」



「あーえっとーそのー、はい。言ってませんでした。すいません」



「この感じ、エスワー先生も言ってなかっただろ!」



「いや〜封印寺が先に試験受かったなんて言ったらルシウスがとてもとても騒がしくなるだろうな〜と、思いまして」



「俺の信用そんなもんなの!」



その場の全員が頷いた。



「まぁ確かにルシウスの信用度がカメムシ以下なのは分かるけどさ」



「酷! 封印寺の方が性格ゴミだろ!」



「それが現実だろ! げ・ん・じ・つ!」



「そろそろ話を戻さないか? 三人とも?」



「あ、はい、すいません」



「それではなぜ私が君達を呼び出したのか? それは君達に頼みたい任務があるからだ」



俺達に振り注いだ悲劇。それはこの日から…彼女との出会いから始まったんだ。

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