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銀月の魔女は闇と歩く  作者: 桜色藤
1章 砂漠の旅路
17/58

14話 第一夜 3

PV9000アクセス突破です!!!

これからもがんばります!!

夕食も終わり、静まり返る夜半。


「セリス。」


 優しく揺り起こされて、パチリと目を開いたセリスは、クンと伸びをした。

一度目をこすってから、闇の中でも恐れることなく目の前の長身の影を見上げる。

常人ならば目と鼻の先さえ見えぬ闇でも、強大な魔力を持ち、精霊の寵愛を受ける彼女の目は確かにジークの顔を捉えていた。

 今の今まで眠っていたにもかかわらず、その名残すら見あたらぬ様子で首をかしげる。


「見張り?」

「ああ。」


 役に立つかすら疑問視されているとしても、護衛として参加しているからにはセリスにも夜営時の見張りの義務はある。夜営は本来は2人一組で1人当たり二刻で交代するが、セリスは体力の劣る魔法士であること、傭兵として日が浅いこと、何より年若い(幼いといってもいい)少女であること等から、見張りの時間を一刻に免除されていた。

 相方にしても、天幕を空にする訳にはいかないのでジークと共に行うわけにはいかない。また、信用が無いセリスと赤の他人では見張りに支障が出る恐れがある。そこで、顔見知りであること、実力・人格共に定評があること、何よりも「子供に欲情する趣味は無い。」という台詞から、エイギルが相方として選ばれた。




 これ程の気配りをされていてもなお、セリスの前に立つジークの漆黒の瞳から心配そうな光は消えない。

 その唯一にして最大ともいえる不安要素は、頭上に存在していた。


「満月まであと僅かだというのに、人前に出て大丈夫なのか。」

「月が満ちていないのなら、直接光を浴びなければ平気よ。外套もかぶるし。」


 それに、とジークの目の前で握っていた右手を広げる。手のひらの上には


破璃(はり)玉・・・?いや、水晶か。」


 透明度が高すぎて硝子玉のように見えるそれは、小粒の水晶玉だった。三つ並んだそれには穴が開いていて、細い銀鎖が通してある。


「ええ、見ていて。」


そういって一粒をぎゅっと握り締める。すると、透き通り、無色だった水晶は(かす)かに、金色を帯びた真珠色―――月色を帯びていた。鎖を首にかけながら説明する。


「水晶に魔力を溜める働きがあることは知っているわよね。これは、それをさらに改良して魔力の貯蔵量を増やしてみたものなの。いざとなったらこれに魔力を注げば問題ないわ。」

「・・・・・・・・・・・・いざとなったら必ず『呼べ』よ。」



 返事をしないまま外へ出る。途端、満天の星と、月光がセリスの目を射た。



「――――――――――――――――っ!」

「セリス?!」

「来ないで!!」


 突如としてあたりに満ち溢れる膨大な魔力に、ジークは思わず天幕を出て駆け寄ろうした。しかし、滅多に無い強い拒絶に動きを止める。

 咄嗟にジークを押しとどめたセリスは、意識的に呼吸を繰り返すことで体の奥底から急激に湧き出る魔力を抑えようとする。右手は無意識に水晶を握り締め、身体から溢れ出ようとする魔力を流し込む。



 しばらくそのままでいたが、やがてふうと息を吐いて知らず丸めていた背を伸ばす。


「セリス・・・?」


 渦巻いていた魔力が静まるのを感じ取り、恐る恐るジークが声をかけると、「大丈夫」としっかりとした返事が返ってきた。


「じゃ、留守番よろしく。」


 あえてジークに軽く声をかける。ぱさり、と外套を翻してセリスは向かった。







  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 砂漠の夜はことさら神経が研ぎ澄まされる。

火を見つめながらそんなことを考える。事実、冷えきり、澄み切った空気にさらされて、五感だけでなく思考までも鋭敏になるかのようだ。

 それは砂漠の夜特有の張りつめるような空気が、普段よりも(かす)かな音でも届けるからかもしれない。



 背後で砂が擦れ、軋む音がし、セリスがやってきたことを知らせた。

どこで調達してきたのか、湯気の立つカップを両手に1つずつ持っている。


「お疲れ。はい、どうぞ。」


 礼を言って受け取り、一口すすると口の中に甘く爽やかな香りと味が満ちた。

これは眠気覚ましにも効きそうだ。

 横目でセリスのほうを(うかが)うと、警戒心の欠片もないようにすぐ隣でカップを両手で包み、手を温めていた。寒いのか、外套の頭巾をすっぽり被っている。


 顔が見えないせいか、なんとなく話のきっかけが掴めずちらちらと盗み見ていると「何?」と向こうから問いかけられてしまった。


「あー、えーと・・・」


 なんと話を切り出そうか迷う。だが、相手は別な意味に取ったらしい。


「このお茶については気にしなくていいわよ。茶葉も水も私の自前だから。」


 言われて、生命線ともいえる水を振舞われているのだと気づく。どうやら自分は思った以上に緊張していたらしい。

 苦笑して、彼女の言葉を否定した。


「や、別に盗んだなんて思ってないよ。そうじゃなくて、どう話を切り出そうかな、と。聞きたいことがあったからさ。」


 一呼吸置いて。


「ジークとは恋人同士なの?」

 

 遅くなってすいません

授業の合間に書いてたルーズリーフを紛失してしまって・・・!!!

整理はちゃんとやろうと思います

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