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銀月の魔女は闇と歩く  作者: 桜色藤
1章 砂漠の旅路
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10話 波乱の出発 6

 長い付き合いであり、傭兵として幾度も死線をくぐり抜けてきた強者であるエイギルでさえも怯む、ジークの〈本気の〉殺気。

 しかし、セリスはそれに臆する事なく、むしろそれ以上の気迫でビシリと指を突きつけた。


 「部外者で、経緯を知らない私が口を出すのもどうかと思って黙って聞いていましたが、もう我慢できません!

  自分より弱い女性に対して切るとは何ですか!!!

  他にも目障りだとか、何の価値もないとか・・・いくら何でも言いすぎです!!

  アンジェリカさんと何があったのかは知りませんし聞きませんが、これから一緒に旅をする人、しかも協力し合うべき護衛という立場の相手に言っていい言葉ではないでしょう!!そもそも―――――――――」


 延々と続くセリスの説教に、ジークは少々怯んだ様子を見せた。

 渦巻いていた殺気はすでに無い。

 ようやく、先程からのジークの不可解な言動の理由をエイギルは知った。


 ジークは女性に冷たいというわけではない。必要以上に表に出さないし、にこやかにしている訳でもないので誤解されがちだが、いつだってさりげない優しさを持っている。

 ただ、それに勘違いしたアンジェリカのような女には容赦がないのだ。特にしつこい部類に入るアンジェリカに対してはなおさらで、本来なら腕をからめたりしなだれかかられた時点で一睨みし、突き放すぐらいはしているはずなのだ。

 それをしなかったのはセリスを怒らせたくなかったからか。


 自分より小柄で若い少女にこんこんと説教され、反撃どころかなす術も無いジークを見やって思わず微笑う(わらう)

 さすがのAランク傭兵も相棒には敵わないらしい。









 「こいつが理解しないのが悪い。俺は以前から言い続けているんだからな。

  普通に言ったのでは理解しないんだ。その時点で気を使う必要は無いだろうが。」

 

 セリスの言葉の合間をぬって何とか反論したジークだが、即座にセリスは叩き潰す。

 

 「何のために話術を仕込まれたと思っているんですか!!!物には言い様という物があるんですよ!

  それに、女性には優しくと教えられたでしょう!!他人への気遣いを忘れるなとも言われたはずです!!

  そもそも、手当たり次第に女性に手を出すからいけないんですよ!

  貴方も立派に成人した男性ですから、女遊びは目を瞑るとしても相手を選ぶべきなんです!!!

  そんなんじゃ本命が出来ても逃げられますよ!!!」








 「「「・・・・・・・・・・・・・。」」」







  沈黙






 その場にいたセリスを除く三人は―――――――――――アンジェリカさえ―――――――――――口を開けなかった。

 どう見ても13,4歳の可憐な少女から飛び出た、その外見を大きく裏切る言葉。その威力がそうさせた。






セリスが切れました(笑)

ジークがセリスを怒らせることは滅多にありませんでしたが、その分一度雷が落ちたときの恐ろしさは身にしみています。

そのため、どうしてもセリスの説教モードには気後れしてしまうのです。


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