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目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです  作者: MIRICO


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5② ークラウディオー

「セレスティーヌの姉の子を預かれと?」


 寝耳に水の話を聞いて、クラウディオは顔をしかめた。

 セレスティーヌの家族とは極力関わりたくないのに、子を預かってほしいという手紙が届いたそうだ。

 それを、セレスティーヌから聞いていないが。


「お手紙はセレスティーヌ様の元に届いたのですが、セレスティーヌ様は体調が悪いらしく、リディからその旨を確認してほしいと。こちらが、その姉君からのお手紙です」


 モーリスはクラウディオの疑問にすぐに気付くと、聞いてもいないのにセレスティーヌが頼みに来ない理由を口にした。


 いつものセレスティーヌならば、伺いを立てるためにすぐにクラウディオの元に来るだろう。お茶の用意でもして着飾り、本来の問いを忘れたかのように長話をするに決まっている。


 それなのに、今回はそのチャンスを無駄にしたようだ。セレスティーヌならば体調が悪かろうと這ってでもクラウディオに会いに来そうなのに。


「厨房で会った時は、体調が悪いようには見えなかったが」


 むしろ顔色も良く、食欲も旺盛に見えた。

 怪しげなものを食べていたのだから、それであたったと言うのならば納得がいく。

 やはりなにか企んでいるのではないのか。そう思わずにはいられない。


 セレスティーヌは屋敷にいてもなにをするでもなく、ぼうっとしていることが多かった。やることといえばこちらの気を引くための無意味な行動。

 姉の子を預かるとなれば、喜んでクラウディオに聞きに来るだろう。


 それがないとなると、何を考えているのか、不安になる。


「いかがされますか?」

「断るわけにはいかないだろう。しかし、会ったこともない子供を預かって、世話ができるのか?」

「乳母も連れてくるとのことですので、お部屋だけ用意すればよろしいのではないでしょうか。あとは食事など子供向けのものを用意させて」

「お前に任せる。子供など扱ったことがないからな」


 気になるのは、子供を預かってセレスティーヌが何をしてくるかだ。今は体調が悪いといっても、子供が来ればそれを口実にして何かしてきてもおかしくない。


「頭が痛いな……」


 モーリスもセレスティーヌの動向を調べておくと頷く。

 朝食を共にするのをやめてから、何をしているのか分からなくなって不安が増すだけだ。ここで子供を預かることになったのも計画ではないかと疑いたくなる。


「少し、外の空気を吸ってくる」


 庭園で空気でも吸ってこようと思っても、セレスティーヌが突如現れて声を掛けてくるものだから、庭園に行くことも最近は行っていなかった。歩いて様子を見てみようと足を進める。


 クラウディオは緑の濃い森の奥の方へ歩きだす。セレスティーヌが好きな庭園は花の多い場所なので、そこは極力歩きたくないと避けて通った。


 森の中に入れば梢を揺らす鳥やリスが見られる。花のある庭園に比べて少々暗い雰囲気なので、こちらにセレスティーヌが寄らないことは知っていた。


 しかし、森の中で女性の声がして、クラウディオはさっと木陰に隠れた。セレスティーヌだ。

 先回りされていたのか、メイドのリディと一緒だ。リディはセレスティーヌの家から連れてきたメイドで、セレスティーヌとの関係がとても深い。あんな主人で疲れないかと思うのだが、セレスティーヌが倒れた時も本気で泣いていたので、仲が悪いわけではないのだろう。


(親との仲は良くないようだが)


 姉とはどうなのだろうか。聞きたいとも思わないので聞くつもりはないが。


 セレスティーヌは何を見ているのか、歩きながら空を見上げる。指差ししながらリディに話し掛け、無防備に口を開いて笑った。


(珍しい笑い方だな)


 普段なら笑ってもどこか不安げで、喜んでいるのか悲しんでいるのか分からない顔をしていた。いつも人の顔色を窺い、眉を傾げて泣きそうな顔をする。それでも人に食いついてくるように話し掛けてくるので、何を考えているのか想像すらできなかった。


 だが、今のセレスティーヌは振り切れたような笑い顔を見せている。自然な笑い顔だ。

 モーリスの言う通り、何か吹っ切れたのか。謎である。


(気付かれないように離れよう)


 リディの前ではあのような顔を見せるのか。そう思いつつ、やはり関わりたくないと、クラウディオはその場をそっと離れることにした。

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