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出会い

 『ランダムマジック』の中身も気になるが、先にあの子の無事を……と思っていると、すぐ後ろに彼女の気配があった。


 水晶か何か……いや、もっと頑丈な何かに閉じ込められている褐色肌の少女。体も拘束具に縛られて、生きているのか死んでいるのかさえ分からない。


「『合成』……してみるか。今の俺にこれは扱えるのか……?」


 この鉱物を欠片だけもらって……そうだ、『ランダムマジック』の中身だ!


 パン! と球体が弾けて周囲に十ほどの大小様々なアイテムが飛び散る。剣、槍、胸当て、靴、魔石……。


 魔石はなかなかレアだな。さて、どんな性能をしているのやら……。


 ○SR:ワーグナーの魔石

・体内にあるグループCの毒素を消し去る。

・口にすれば24時間続く苦痛の後に死ぬ。

 ○


 おおう……とんでもないものが入っていた。これを使って、どうしろってんだ?


 まあ、これは今は『合成』しても仕方ないな……。他で代用しよう。


 欠片とピッケル……これならどうだ?


 ○UC:魔石ドリル

・耐久値1/1

・鉱物へのダメージ+1200

・大轟音

 ○


 これはまた……ピーキーなものができたな。だけど、これなら……と、俺は少女を捕らえている鉱石を掘り出した。


 すると、徐々にだが鉱物は削れていく。


 少女までもう少し、というところで鉱石全体がバァン! とはじけた。


 中から出てくるのは……浮遊した少女。その瞳が、ゆっくりと開く。


「……あなたが、私を助けてくれたの?」

「えーと、そうなるかな。君がどんな状況にあったかも知らないけど」

「436年と4ヶ月。それだけ私はここにいた。まさか、魔強化されたアダマンナイトを砕けるヒトがいるだなんて……」


 400年!? それだけ、それだけこの子は独りぼっちだったのか?


「そりゃ……寂しかったろ」

「50年を過ぎるくらいまではね。それからは、きっと私は罰を受けてるんだと思ってたから」


 よく分からないが……長い間、こんなところに監禁されるほどの罪とは何だろうか。


「ま、助かったならいいんじゃねえの」

「冷たいヒト。これから一緒に旅をしようくらいの一言は言えないの?」

「出口までは送ってやるよ。今装備を作るから待ってろよ」


 きっと、外では俺のパーティメンバーの悪評の全ての元凶が俺だという事になっているだろう。なら、そんな奴に連れ回されるのも可哀想だ。


 ○NR:十本目のパルチザン

・物理ダメージ120~163

・耐久値:340/340

・アタックスピード+30%

・魔法ダメージ(炎)+20

・重撃ダメージ+30%

・『薙ぎ払い』

 ○


 ○NR:鉄の衣

・アーマー58

・耐久値:590/590

・耐斬撃+60

・耐衝撃+32

・レジスト(炎)(氷)+10%

 ○


 まあ、こんなものか……属性ダメージが入ったのはデカいな。俺には魔法は使えないから……。お、靴には移動速度+10%が付いてる。普通に歩いてる感覚で駆け足程度にはなるから便利なんだよなあ。


「今……何したの? 急に武器と防具が……?」

「ガラクタとガラクタを混ぜ合わせただけ。これが俺のスキルなんだよ」

「ふぅん、変なの」


 そりゃ分かってますよ。そのせいでこんな所に落とされたわけだしな。


 その装備で道中の魔物と戦闘しながら、俺はようやく尋ねた。


「それで、お前は何なんだ?」

「私はシフィ。魔道書よ」

「魔道書? どっからどう見ても人間じゃねえか」

「私の中にはこの世に存在する魔法の全てが記録されているわ。人化の術くらいあるに決まってるじゃない」


 シフィは淡々と言うが、それってすごい事なんじゃ……。


「それじゃ、シフィは魔法なら何でも使えるのか?」

「知ってるのと使えるのとではまた別の話よ。私には魔力の出力がそうないから……そうね、人間のレベルに合わせて言うなら駆け出しの魔法使いくらいよ」

「その辺は武器と同じなんだな……結局は本人の力がないと何もできないっていう」

「その通りね。私を使いこなせる人間なんてどこにも居なくて、果てには悪用されないために封印するなんて、本当人間ってろくなものじゃないわ」


 溢れてる溢れてる。どす黒いオーラが溢れてる。


「ま、いいじゃないか。俺が来たんだから、捨てたもんじゃないだろ?」

「あら、あなたなら私を使いこなせるって?」

「俺に魔法は分かんねえよ。だけど、どう生きるかなんて、実はいくらでも道はあるんだぜ」


 それを聞いてシフィは目を丸くして……また伏せた。


「私には、分からないわ……でも、そうね。助けてくれてありがとう。あの、その……」


 シフィはしばらく口をもごもごさせた後、こう告げた。


「私、あなたについていっていいかしら?」


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