閑話 専属護衛
実季子の専属護衛のアピテは、実季子の後ろに控えていたが、あんなに鼻の下を伸ばしたアルカスを初めて見た。
何を如何したら、あんなに変われるんだ?
先の戦の時もアルカスの副将だったアピテは、常にアルカスと共に行動していた。
が、いつも眉間に深いしわを刻み、鋭く冷たい目で周囲を抜かりなく牽制するその視線だけで、若い兵などは縮み上がっていたというのに。
今のアルカスはまるで春のお花畑にでもいるようだ。
と言うか、チョウチョになってお花に飛んで行ってるようだ。
あれだけ彼女を愛おしそうな目で見て、わざわざ自らが足を運んで仕立屋でドレスを仕立て、店を出て来たと思ったら、彼女の首と右手には、他の者に取られないように枷
-アピテには、指輪とネックレスではなく、簡単には外れない枷に見える-
が、ハマっているではないか。
なのに、客人であると言い張り、彼女が国に帰るまで丁重にもてなせと言っている。
本気で帰すつもりなのか?
果たして帰せるのか?
何か、理由があるのだろうが、我が主人は生真面目なだけあって、難儀なことだ。
そんなことを考えながらも、目は常に周囲を警戒している。
この国の者、いや、周辺諸国を入れたとしても、アルカスよりも強い者はいないだろう。
彼を守る必要性は感じられないが、彼女 -実季子- は守らなければならない。
何者からも。
今、実季子を傷つけられれば、アルカスがどうなるか分からない。
実季子を傷つけた者は、間違いなく次の朝日は浴びれないだろう。
アルカスの軍人時代に副官だったアピテ目線です。
この部分だけ、文字数が少ないので閑話として投稿しました。




