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推死の当て馬騎士様を守りたい(短編版)

作者: ゴリエ
掲載日:2021/01/20

この小説は、とびらの様主催「あらすじだけ企画」の寄稿作です。

ヒロインをかばって、当て馬の推しが死んだ。

推しのアルネストは完璧な騎士だった。強く優しく誠実。

でも、とにかく不憫キャラで、思えばいつも自己犠牲的な戦い方をしていた。

自分より他人を大事にする人。

彼のような人こそ、生きてちゃんと報われてほしい。


そう嘆いていたら、物語の中に転生した。

騎士学校の、モブ女子生徒として。

時期は原作開始の約一年前。

そして、アルネストは直属の教官。

天国は、ここにあり。


なんとしてもアルネストを守ろう!


しかし、主人公は剣術ど素人。

――と思いきや、アルネストを想うと、膨大な炎の魔力があふれ出た。

信じられないが、萌えが魔法の原動力になっている。

騎士としては反則に近いが、魔法剣だと言い張った。


この国は魔法大国で、軍人もほとんどが魔導師。

騎士は魔法が発展する前の遺物で、慣習的に残存している、美しいだけのお飾り軍人と揶揄されていた。

魔力が弱い者が、仕方なく騎士となるのだと。


アルネストも魔法は使えない。

しかし、その代わり魔法を無効化できる体質で、戦場では頑丈な「盾」として重宝されていた。

主人公と共闘するにも相性が良く、二人はパートナー騎士に。

さらに、上級モンスター撃退の戦績が評価され、二人は王子の近衛騎士となった。


終戦後もモンスターが出現するのは、戦時中に隣国がかけた呪いのせいだと判明する。

隣国は敗戦国。賠償金支払いの条約もすでに締結済みで、「これ以上の責任は負えない、自国の復興で手一杯」と責任逃れ。

呪いはいつどこで発動するかわからず、穏やかではなかった。


話がところどころ原作と違う。

アルネストの死期も予測できなかった。


そして、近衛騎士の任務初日。

遊興目的で城から脱走した王子(原作の正ヒーロー)。

その居所を即座に突き止めたことで、主人公は王子から不審がられる。

言葉巧みに尋問され、ついには転生者だとばれる。

アルネストを生かすために王子も協力すると言うが、代わりに異世界知識を提供しろと迫られた。

それは、本来ヒロインの役目なのに。

主人公と王子の仲が急速に縮まった(ように見える)ことで、アルネストは複雑だった。


ある日、アルネストをかばって主人公が呪いを受ける。

それは、原作でアルネストを死に至らしめた呪い。

アルネストと王子は解呪方法を調べ上げ、無事に呪いを解くが、ここで二人とも主人公に恋愛感情を抱いていることが判明。

主人公には黙ったまま、以後二人は牽制し合うようになる。


やっとヒロインが異世界トリップしてきて、聖女となる。

主人公のある挙動から、同じ異世界人ではとヒロインに見抜かれる。

この際、ヒロインにもすべてを打ち明けた。

ヒロインは主人公の考えに賛同。

そして、原作では救われなかった隣国に行くと決意する。呪いの原因を絶つと。

ヒロインは和平大使として隣国へと渡った。


原作では、最後に大量のモンスターが国を襲う「ワイルドハント」が起こる。

今回もそれは避けられなかった。

決戦前夜、主人公はアルネストに強力な眠剤を飲ませ、出陣できないようにした。

王子の許可も得た。その代わり、生還後には王子との婚姻を約束させられた。


死闘の末、主人公は崖から海に落ちて行方不明に。

助けてくれたのは、若い漁師だった。

一月後、傷が癒えると、漁師から求婚される。

王城には帰りたくない。アルネストにも会わせる顔がない。ここで生きるのが幸せかもしれない。


すると、アルネストが訪ねてくる。激怒している。当然だ。

「あなたは王太子妃になられるお方です」と連行された。


アルネストは主人公を血眼で探していたらしい。

生死不明で手掛かりもなく、絶望し、自分宛ての遺書でも残っていないかと部屋を探したところ、日記を見つけたと。

主人公は青ざめる。それ推し活日記……!

アルネストは主人公にではなく、不甲斐ない自分に一番怒っていた。

彼は主人公に告げる。


「私と逃げて下さい。どこか遠い地で、二人で暮らしましょう」


渾身の求婚だったが、主人公にはまったく伝わらず、馬車は王城に到着してしまう。


アルネストが王子に猛抗議。

分がないと悟った王子は、意外とあっさり引く。

そこで、勢いのまま、もう一度主人公に求婚するアルネスト。

日記のおかげで愛されていると自信が持てたので、強気に出られた。

しかし、断られる。


「結婚なんてとんでもない! 推しへのお触りは厳禁です!」とか、よくわからない理由で。


その後何度も乞われ、結局主人公が根負け。


そして初夜。

アルネストが主人公に触れようとした時。

主人公の脳内に、転生前に愛読していた別の小説の映像が流れ込んでくる。

二番目の推しが死にそう。でも今なら助けてすぐに帰ってこれそうだ。


それを正直にアルネストに話すと、今まで見たこともない凄まじい形相をされて震え上がる。


「二番目、ですよね。なら一番に慕う方がなんとかしてくれるでしょう。だから、もうどこにも行く必要はありませんね?」


優しい推しが、初めて怖かった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定がとても面白いと思いました。 物語のモブに転生したおり、善良な最推しの命を救うのに奔走する快活な主人公に好感がもてます。 優しすぎて損ばかりしているアテウマ・サブキャラであるヒーローも…
[良い点] オタクなヒロインの思考回路に笑わせていただきました。 >「結婚なんてとんでもない! 推しへのお触りは厳禁です!」 こことか、もうね、笑うしかありませんでした。 恋が実ってもアルネストはしん…
[良い点] 設定段階からかなり好きです! 推しは尊い! それが魔法になるなんて最強じゃないですか? 推しにも王子にも好かれるハーレムも大好きです。 [気になる点] 多分長編になると分かるんだろうと思い…
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