不完全な青春 【月夜譚No.41】
青春なんて、不完全なことばかりだ。身体も心も発達途上で、もどかしい思いをすることも少なくはないだろう。
できないことや問題に直面し、試行錯誤にもがき苦しんで大人への階段を上っていく。その速度は人それぞれで、先に行ってしまう誰かを妬んだり憧憬したりする。
自分ではどうにもならない感情を抱えて悩むこともあるだろう。広い海に放り出されて途方に暮れるような思いをすることもあるだろう。しかしそれが糧となり、その者自身の人となりを作っていく。
青春など、そんなものだ。だが老若男女、誰もがいつだってこんな状況に陥ることがある。人は死ぬまで完全になることなどないのだ。とするならば、人の一生は丸々青春のようなものだ。
完全な人間などいない。失敗をしない人間などいない。不完全な人間だからこそ、人は人を愛するのかもしれない。