01:陰陽師来る!
登校中――、
「「イチジクさま!イチジクさま――――!!!」」
「?」
僕に話しかけてきたのは妖怪“白坊主”と“黒坊主”だった。何やら慌てているようだ。(ちなみに、僕は鶫をはじめとするいろんな妖怪の面倒を看たりしてるから、何かと妖怪やその類に慕われている)
「どーした、二人とも?もしかしてまた喧嘩か?」
「違うんです!違うんです!(黒)」
「あのね!あのね!(白)」
「大変なんです!大変なんです!(黒)」
「たいへんなの!たいへんなの!(白)」
「あー、あー、わかったから、もうちょっと落ち着いて話して……」
いつも喧嘩ばっかりしている二人が、こんなに慌ててどうしたのだろう?
僕は宥めたが、二人は落ち着く様子がない。しかし、なんとか二人は話してくれた。
「陰陽師、です!!!」
「そーなの!おんみょうじ!!!」
「陰陽師?……それが、どうしたんだ?」
陰陽師という、聞きなれない言葉を聞いて、僕は眉をひそめる。
「来たんです!この町に!オイラたち消されちまう(ガタガタ)」
「イチジクさまのがっこうにも!ふたり!みんなきえちゃう(ブルブル)」
「なんっ……!!?」
陰陽師とは―――、
呪術、占い、除霊等を専門とする者を指す。……つまり、
――――――――――妖怪の敵、ということだ。
本当だったら、――かなりまずい。こいつら全員消されかねない。
いや、僕的には厄介払いができていいのだが……、それだとさすがに忍びない。
僕は二人に「わかった、何とかする」と言い残し、学校に急いだ。
―学校―
ダダダダダダダダダダ!!!!ガタンッ!!!
僕は、全速力走って学校に着いた。よかった、少し早めの時間だったのにもかかわらず、僕の教室には何人か生徒がいた。
「あ、おはよー」
「はよっ!!!九!……どーしたんだ?」
クラスメイトが朝の挨拶をしてくる。
僕はそれを軽く聞き流し、一番聞きたかったことを聞いた。
「ハァ、ハァ、ああ、おはよう(ニコッ)ところで、今日、転入生、とか、いない、かな?この学年だけじゃなくても、いいんだけど……。」
「あ、それなら―――、」
クラスメイトの一人(宮下さん)が何か知っている模様。それはもしや―――、
「このクラス(1組)と4組に転入生が来るとかなんとか……」
「おお!マジで!?(岩倉)」
「二人は兄妹で、しかも陰陽師の家系らしいよ?(橘さん)」
「「「陰陽師!!?(僕を含めた一同)」」」
ヤッタ!!!中2みたいなノリになっちゃったけど、当たりだ!
……いや?まだ事態の改善にはなっていない!――妖怪消したりすんのかな?なんとか和解とかできないかな?
僕がいろいろ考えているうちに、学活(HRというのか……?)が始まってしまった。
「えー、みんなもう知ってると思いますが―、今日は転校生がいますー。(先生)」
「源 かぐやです。よ、よろしく、お願いします……」
そこにいたのは、僕でもフツーにビックリしちゃうほどかわいい女の子だった。
艶のある日本人女性らしい黒髪のロング。凛とした、それでいてかわいらしい顔立ち。美しい立ち姿。思わず息を呑むほどだ……。
――――と、いかんいかん。この子は今一番警戒しなくちゃいけない子なんだ。いつものように冷静に……。
だいたい消されるかもしれないのは僕じゃないんだし。いや、でもやっぱり怖いな――。なるべく話とかはしないようにしよう。
しかし―――、
「えっと…、こんにちは……」
「ど、どーも―……」
残念ながら、僕は妖怪には好かれているが、カミサマには好かれていないようだ。
源さんの席は僕の隣だったのだ。(死亡フラグ)
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