いのち
ボクの名前はるーくん
パパとママがるーくんって呼ぶからるーくん
いつもパパとママが優しい声で話しかけてくれる
「るーくん、おはよう」
「るーくん、おやすみ」
「るーくん、元気だね」
「るーくん、かわいいね」
「るーくん、おでかけしようね」
パパとママとのおでかけ
ボク、おでかけ大好き
ゆらゆら
ゆらゆら
ママの抱っこで気持ちいい
ゆらゆら
ゆらゆら
「こんにちは、大きいねぇ」
「10ヶ月なんです」
「あらまぁ、楽しみね」
おばさんはボクの足を優しく撫でた
ゆらゆら
ゆらゆら
ママが歩くと、小鳥さんがやってきた
ちゅんちゅん
「生まれた、生まれた」
何が生まれたの?
ちゅんちゅん
「僕の赤ちゃんだよ」
小鳥さんは飛んでいった
ゆらゆら
ゆらゆら
ママが歩くと、今度は猫さんがやってきた
にゃーにゃー
「生まれた、生まれた」
何が生まれたの?
にゃーにゃー
「僕の赤ちゃんだよ」
猫さんは走っていった
ゆらゆら
ゆらゆら
ママが歩くと、今度は近所のケンちゃんがやってきた
「生まれた?生まれた?」
「ううん、もうちょっとよ」
「もうちょっと!もうちょっと!」
ケンちゃんは走っていった
ゆらゆらのお散歩が止まって
ママがうーーーん!と大きな声を出した
小鳥さんがきて
ちゅんちゅん
「もうちょっとだね」
猫さんがきて
にゃーにゃー
「もうちょっとだね」
パパが頑張れ!頑張れ!と応援すると
ママがうーーーん!と大きな声を上げて
ぼくもなんでかうーーーん!と力を入れた
頑張れ!頑張れ!
うーーーん!
頑張れ!頑張れ!
うーーーん!
ちゅんちゅん
「生まれた、生まれた」
にゃーにゃー
「生まれた、生まれた」
何が生まれたの?
ちゅんちゅん
「君だよ」
にゃーにゃー
「君だよ」
ママが笑いながら「るーくん」と呼んだ
パパが泣きながら「るーくん」と呼んだ
そっか、僕が生まれたんだ
僕は大きな声で
「おぎゃあ!」
と返事をした