道化師の歪んだ戀
さぁ、語ろうか、騙ろうか。これは道化の一世一代の告白劇。
喜劇か悲劇か、さて、紳士淑女の皆様方、
その瞳を大きく開いてご覧あれ!!
これだけ愛したというのに、どうして君は僕の元へ来てくれないのか。考えたんだ。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も――考えて、考えて、君だけを想う僕がいて、考えて、考えて、君だけしかいらない僕しか残らなくて、考えて、考えて、考えて――あぁ、君が、愛しい(骨の髄までしゃぶり尽くしてしまいたい!!)結局僕は君のことを愛している、愛していた、愛してる、それだけに尽きる様だ。なのに君は一向に僕の元へ来ないどころか僕自身に気付いてくれやしない。なんでだろうね?そんなに僕を焦らしたいのかい?それとも僕が君に向ける愛情を疑っているとでも?――あぁ、もしそうならば僕はこの胸を裂いてでも君に、君への愛を示そうじゃないか!!そうすればきっと君も僕の愛を疑わず、僕への愛に目覚め、僕だけを、愛してくれるだろう?(でなければ、)( 許 さ な い / ア イ シ テ / ― ― … … )
――さて、狂った道化が愛を囁いたところで誰も見向きはしないのさ。そう締めくくった彼の仮面は歪な罅を刻み、腕の中に収めた美しき美女に口付ける。愛しいと囁いて、憎いのだと嘯いて、愛してと乞うて――成れの涯、罅割れた仮面の奥で、得られぬアイに別れを告げた。