表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラと解けない0時の魔法  作者: カフェオレラテ
1/6

魔法の始まり

『物語の終わりは、必ずやハッピーエンドで終わる、という訳ではない…』

〜《『昔々、あるところに、"シンデレラ"という、とてもみすぼらしい子がいました。シンデレラは、まま母と意地悪なお姉さん二人にいじめられてばかりいました。ある日、まま母とお姉さん達はお城の舞踏会に呼ばれ、出かけて行きました。シンデレラも行きたかったのですが、ドレスを持っていません。そこに、魔法使いが現れました。魔法使いは、シンデレラに美しいドレスと、綺麗なガラスの靴を与え、シンデレラにこう言いました。

「0時になると、魔法が解けてしまうからね」と……』》


『ねぇねぇ、おばあちゃん。どうして0時になると魔法は解けちゃうの?魔法溶けちゃったら、もうお城の舞踏会には行けなくなっちゃうよ?そしたら、王子様と結ばれなくなっちゃうの?』

するとおばあちゃんは優しく微笑むと、

『いいえ。大丈夫よ、まだ物語には続きがあるわ。それに、シンデレラと王子様はきっと結ばれるわ』


おばあちゃんは、しわだらけの手で絵本のページをめくる。暖炉からパチパチと火花が弾ける音がかすかに聞こえる。柔らかくて温かいじゅうたんと、ふわふわの毛布と、優しくて穏やかなおばあちゃんに包まれながら小さい頃の私は、おばあちゃんに絵本を読んでもらっていた。

『ほんと?王子様とシンデレラは結ばれるの?』

おばあちゃんは微笑んだだけだった。

『そっかぁ、そうだよね!…私も、お姫様に…ううん、シンデレラに、なりたい!』

私は満面の笑みでおばあちゃんに言った。

『そうねぇ。マヤちゃんなら、なれるわ』

そう言って、おばあちゃんは私の頭を撫でてくれた。


❈❈❈❈❈❈❈


「……んっ」

私は部屋の寒さで目を覚ました。毛布をかけて寝ていたはずが、どうやら寝ている時に毛布を寝返りで落としてしまったらしい。

眠くてしょうがない体をゆっくりと起こすと、凍えるような寒さに身をすくませる。

「寒い……っ……ちゃんと毛布かけて寝てれば良かったな」

時計を見ると朝の6時ちょっとすぎくらいだろうか。

私は、大きく伸びをすると、

「よし、今日も頑張ろう!」

と、活を入れるために両方の頬をパチンと叩いた。


「……よし、制服は持ったし、朝ごはん食べたし、準備はだいたい大丈夫そうかな。あとは……」

引き出しをあけて、ガサガサと中をさぐる。

「あった!良かった〜、ないかと思った…」

探していたのは、おばあちゃんに作ってもらったヘアゴム。


ヘアゴムと言っても、ゴムが特別な素材で出来ていて、光を当てるとキラキラと反射して光るようになっている。ヘアゴムには小さな時計が付けられていて、その時計はちゃんと動くようになっている。懐中時計のように、フタが付いていて、フタには小さなダイヤのような綺麗な石がちりばめられている。実はこれ、私の1番のお気に入りでもあって、宝物なのだ。今はもういないおばあちゃんの形見でもある。おばあちゃんは手先がとても器用で、よくいろんなものを作ってもらったりしていた。


「……はっ!いけない、つい…おばあちゃんの事を考えちゃった」

家を出ていかなければならない時間が迫っている。

私は慌ててヘアゴムを使って髪を横流しにたばねると、急いで家を出ていった。


❈❈❈❈❈❈❈


「あらっ、珍しい、マヤちゃんが時間ギリギリに来るなんて…」

働いているカフェに入ると、たまたま入口付近を通っていた店長に

声をかけられる。

「すみません、今日は少し朝、バタバタしちゃって……」

私は頭を下げて謝った。確かに、時間ギリギリにつくのはこの日が初めてかもしれない。

「あらあらあら、いいのよ。女の子は誰だって、朝はきっと

バタバタしちゃうものよ!メイクとか、髪の毛のセットとか、

大変よね〜」


店長は、"分かるわよ〜その気持ち…"と一人でつぶやくと、

はぁ、と溜息をつく。

「そ、そうですよね…」

さすがに、おばあちゃんの思い出にひたっていて遅れました、なんて、この状況でいえない……

「じゃあ、立ち話はこれくらいにして……マヤちゃん、今日も、

一日よろしく頼むわね♪」

「はい!」

店長はニッコリと微笑むと、カフェの奥の調理室に入っていった。

「(私も制服に着替えなくちゃ)」

着替え室に向かおうとした時。私の腰辺りに強い衝撃が走る。


――――――ガチャンっ!―――――――


――――――パリィン!!―――――――


食器のぶつかる音と共に、食器が割れる音が店内に響く。

「(え……?)」

音のした方を見ると、粉々に砕けちった食器、床にこぼれたコーヒーなどが散乱していた。

「これは、一体………」

周りの客も、なんだなんだと騒ぎ始める。

「オイオイ…何してくれてんだよ、コーヒーがこぼれちまった

じゃねーかよ」

見ると、怒った顔の男性がこちらを睨みつけていた。私は、自分がこの男性にぶつかってしまい、コーヒーをこぼしてしまったのだとやっと理解する。スッと、顔から血の気が引いていくのが分かる。

「た、大変、申し訳ございませんでした……!!すぐに、新しい

コーヒーをお持ちします!」

私は雑巾を持ってこようとすると。

「おい、ちょっと待てよ。」

と、男性に腕強い力で掴まれた。

「………っ!な、何でしょうか、お客様」

痛い、というのをなるべく顔に出さないよう、冷静なのをとりつくおった。

「客のコーヒーをこぼしたんだ。まさか、金を取ろうなんて

考えてないだろうな?」

腕をつかむ力が強くなる。

「……っそ、そんな、滅相もありません…!」

私は首をぶんぶんと必死に横にふった。

「だよなぁ……このコーヒー、結構高かったんだよな…」

「………!申し訳ございませんでした…」

私はもう一度、男性に頭を下げた。

「客のいう事を聞くくらいの権利は、俺はあると思うんだがなぁ」

「…え…」

男性はそう言うと、ニヤリと笑った。

「(ど、どうしよう…!!)」

こんにちは、カフェオレラテです。今回は恋愛系を書いてみました。シンデレラのような、お姫様に憧れている人でも、そうでない人も、このちょっとかわったシンデレラの物語を読んで、シンデレラの世界に引き込まれてくださると光栄です

(*^_^*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ