2015年1月2日の私
2015年1月2日の私 ―――約束―――
やっぱりあなたがいないと、私は生きていけないみたいよ。
「里佳」
玲ちゃんに誘われて、三井くんにやや強引に勧められて、降り立った駅で私を待っていたのはひときわ背の高い、とても見慣れたシルエットだった。
「・・・透・・・?」
「どうした?たった3日逢わなかっただけで俺の顔も忘れたのか?」
瞳を細めてふっと微笑む笑顔はいつも通りなのに、ひどく懐かしく感じた。
「どうして・・・?玲ちゃんは?」
「里佳はとても慕われているんだな」
開場時間が迫っているという理由で、透はいつものように私の手を取って足早に歩きだした。
「ちょっと、やだ!・・・行かない!」
思わず透の手を振り払って立ち止まる。
「里佳・・・」
透が私を振り返った。
「もう、終わったでしょ?」
「いいや」
「決心が揺らぐじゃない・・・ちょっと、もう、やめてよ・・・」
首を振って子供のように拒否した私の目の前に立った透が屈んで私の顔を覗き込んだ。
「俺はやっぱり、里佳とつながっていたい」
「そんなの・・・」
「俺の勝手だ。里佳はもう、俺のことは嫌いになったか?二度と愛せる気がしないか?」
「そんな・・・」
そんなはずない。私は透と、いつか結婚する気でいたし、ずっとそばにいる未来だって、無意識にも思い描いていた。それを壊したのは結局私自身の決断だったけれど。
「里佳、とにかく、これを観て、それから考えよう」
「でも・・・」
「行かなければチケットが無駄になる」
「それは・・・」
それはわかっているけど、きっと私は一緒にミュージカルを観終わるころには、もう、透をあきらめられなくなってしまう。何もかも捨てて、透を選んでしまう。それでは・・・。
「これは神崎さんと三井くんが譲ってくれたものなんだ。神崎さんがどれほど今日を楽しみにして、三井くんがこれを手に入れるのにどれほど苦労したか、里佳ならわかるだろう?その二人の好意を、無駄にするような女だったかな、俺が選んだのは」
そう、私は透に選ばれた。そのことはずっと、私の心の中で永久不変的に最も大切なことだったはずだ。
「透・・・」
「いくか?」
疑問文でありながら私の答えを正確に予想している透の呼びかけに、私は黙ってうなずいた。
透、やっぱり私は貴方とつながっていたいの。




