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3話 薄暗い森の中で


 しばらくして、俺は目を覚ました。


「ぃっつ……」


 まだ、頭が少し痛む。


 痛む頭を押さえながら周りを見ると、そこは薄暗い森の中だった。


「……は?」


 思わず固まってしまう。


 いやいや、訳が分からない。


 いつの間に森に来たんだ?


 確か、急いで学校に行って……そうだ、頭に殴られたような痛みが走ったんだ!


 それで気がついたら森にいると。


「もしかして誘拐!?」


 俺はそう思い至る。


 だとしたら、何で誘拐されたんだろうか……。


 誰かに恨まれることなどしたことは無いはずだ。


 しばらく、誘拐された理由を考えた後、今いる場所を確認するために立ち上がる。


 すると、「ドスッ」っと何かが落ちる音がした。


 確認してみるとそれは使い慣れた自分のスマホだった。


 どうやらポケットから落ちたようだ。


「スマホ盗られてなかったんだ……。でもありがたいな、これで誰かに連絡取れる」


 なんでスマホが盗られなかったのかは一旦置いといて、ひとまずスマホがあることに安堵と感謝を込めながらスマホの電源を入れると─


 圏外でした(*ゝω・*)ノ


 ……なんか一気に疲れがドッと来た気がする。


 はぁ、まぁ、圏外なら仕方がないか。


 とりあえず時間だけでも確認しよう。


 気を取り直して、スマホの時計を見ると一二時二六分を示している。


「は?」


 またしても俺は固まってしまった。


 日付を確認しても、日付はもちろん西暦も変わっていなかった。


(あれから六分しか経ってない?)


 俺が通っている学校の近くには森や山はなく、行こうとすると車で飛ばしても一時間は少なくとも掛かるはずだ。


「……もしかして誘拐じゃない?」


 転移でもしない限りは六分で近くの森や山に移動するのは物理的に不可能だ。


「……本当に転移したのか?」


 そんな漫画みたいなことはあるはずがないと思ったが、それ以外にこの短時間で近くの森や山に行く方法が思い浮かばなかった。


(朝急いで学校にいって、自分の教室に入ろうとしたら頭が急に痛み出して、あまりの痛さに気絶して、気絶してる間に誰かに転移させられて森の中に放置された……)


「いや、訳分んねぇよぉぉぉおお!!!」



◇◆◇◆◇◆◇◆



 叫んでから数分が経った。


 まだ、感情が高ぶっているのを感じるが、先程と比べると幾分か冷静になることが出来た。


「……はぁ、とりあえず、転移云々とかいろんな事は置いといて、一旦落ち着こう」


 俺はゆっくりと深呼吸をする。


 高ぶった感情が徐々に抑えられていく。


「あ、そうだ」


 感情が落ち着いたところでスマホの電源を入れっぱなしなのを思い出し、すぐに電源を切る。


 いざという時に使えないと困るからな。


「にしても、ここ一体どこなんだ?何か看板とか目立つモノがあればいいんだが……」


 俺は周りに何かないかと思い、辺りを見渡す。


 目の前には木、右には木、左には木、後ろにも木、上は枝が重なって空が見えず、ほんの少しの隙間から太陽の光が入るのみ、地面は足首くらいまで生えた茶色く枯れているように見える雑草が生えている。


 うん、見事に何もないな。


「ここがどこなのか全く分からんし、どうしよう……」


 木々の所為で視界は悪いし、枝が邪魔で太陽の位置すらも分からない。


 こういう時に何か探したり、何かした方がいい事ってあったかな……。


 しばらく考えてある事を思い出した。


「……あ、そうだ!川だ、川を探そう」


 川沿いに進んでいけば人のいるところに出れるかもしれない。


 それに森などで迷った時に水の確保が一番重要だと何かの本で読んだことがある。


 食料はどうするかとか、拠点をどこにするかなど問題はあるが、水が無ければ三日も生きられない。


 早速、俺は水を確保する意味でも川を探すことにした。


「えーと、その前に木の棒木の棒……っとあったあった」


 俺は落ちていた適当な木の棒を拾い、地面と垂直に立て、手を離す。


 すると木の棒は─


「右に倒れたな。よし、右に行くか」


 俺は川を探しに、道無き道を歩き始めた。

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