帰還
ジャンヌからの了承の意を受けたオルブライト卿とリバルは、ライルを交えて今後の活動について軽く話し合いを行った。
騎士団を抜けるリバルは、これから数名の部下を引き連れて領外を廻り、略奪行為を行っている兵士の取り締まりと、志を共にしてくれる同胞を捜す為に動くことになった。
結論が出ると、リバルは「いざという時は必ず駆け付ける」と言葉を残して颯爽と部屋から退出していった。
こうして、オルブライト卿の救出と、リバルという心強い味方が出来た一同は、堂々と胸を張って城塞都市ソルへと凱旋した。
その道中、家畜に囲まれ、疲労困憊で移動する騎士の集団を見た。と話している村人がいたが、それはまた別の話だ。
帰還したジャンヌ達を待っていたのは、予想を遥かに超える出迎えだった。
「お帰りなさい、オルブライト様」
「オルブライト様、ご無事で何よりです」
都市の入り口である城門を抜けた先の目抜き通りには、オルブライト卿の帰りを待っていた街の人々で溢れ、人々の歓声で都市全体が震えているようだった。
「これは……まさかお主の差し金か?」
オルブライト卿は、歓迎してくれる都市の人々へ笑顔で手を振りながら、隣で馬に乗るライルに声をかける。
ライルはそれには答えず、ただニヤリ、と笑うだけだった。
そして、人々の熱狂ぶりは、オルブライト卿だけには止まらなかった。
「見ろよ。あれがオルブライト様を救ったジャンヌって女の子だろ?」
「綺麗だな。凛々しい姿が堪らないぜ!」
「オルブライト様を救ってくれるなんて、まるで大陸を救った聖女様みたいだ」
「そうだ。聖女様だ」
一人が「聖女」と口にしたことからそれが人々の間に一気に広がり、次々に「聖女様万歳」と口にし始めた。
「え……あの、こういう時にどうすれば……」
人々からの思わぬ歓迎にジャンヌが困惑していると、ライルが横にやって来て耳打ちをする。
「そういう時は笑って手を振ってやればいい」
「う……うん。わかった」
ライルに言われ、ジャンヌはぎこちないながらも、民へ向かって笑顔で手を振る。
その瞬間、都市が割れんばかりの歓声が辺りを包んだのだった。




