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決着

 村の入り口では、野盗たちと自警団の面々が睨み合っていた。

 実力で差があるはずの両者の間で硬直状態が続いているのは、ライルの指導によるものが大きかった。


 ライルの指示で、自警団は野盗一人につき、最低でも二人、もしくは三人で相対していた。

 そして自分たちからは絶対に攻撃をせず、相手が動いた時に狙われなかった方が攻勢に出るという戦略で膠着状態を築いていた。

 この方法では野盗共を追い払うのは難しいが、今の彼等にはその必要はなかった。


 何故なら、彼等にはこの状況をひっくり返せる頼もしい味方がいるのだから――


「はああああああああああああああっ!」


 矢のような速さで現れたジャンヌが乱戦に参戦すると、次々と野盗共の武器を弾き飛ばし、返す刀で急所を突いて意識を飛ばす。

 野盗共は突然現れたジャンヌに驚くが、何かアクションを起こす前にあっという間に無力化され、制圧されていった。


 ジャンヌ登場からわずか五分で、五人いた野盗は全員が捕らえられた。


「さて、こいつ等をどうするべきか……」


 村に侵入していた禿頭の男を加え、六人の野盗を前に、自警団の面々は今後の処遇を決めかねていた。


「決まっている。全員この場で殺すべきだ」


 そう言ったのは、ルシオに手当てをされ、片手を吊った姿が痛々しいライルだった。

 しかし、その言葉に全員が顔を見合わせて黙り込んでしまった。

 ライルの言うことは正しい。そうしなければ、奴等はまた同じ過ちを繰り返すかもしれない。

 そこまでわかっていても「殺そう」という言葉を口にする者はいなかった。

 誰もが殺人という行為に手を染めたくなかったからだ。

 自警団の面々が黙っていると、


「すまなかった。俺達が間違っていた。二度とこんな真似はしないから許してくれ!」


 野盗の一人が涙を流しながら命乞いをはじめた。

 すると、他の連中も堰を切ったように命乞いをはじめた。

 この対応に誰もが参ってしまい、全員が縋るような視線をジャンヌに向けた。


「え……私?」


 思わず間抜けな声が漏れたが、皆の目がジャンヌに一存すると告げていた。

 どうしよう……困惑の表情を隠せないジャンヌは辺りを見渡す。

 ライルは変わらず「全員殺せ」と言っているようだし、自警団の面々は、全員穏便な解決を望んでいるように見えた。

 野盗を見やると、彼等は汚い顔を涙と鼻水で更に汚くして、何だかとても可哀相に見えた。

 ジャンヌは自分の心に聞いてみた。自分が考える理想の騎士道と英雄像を――


「……うん」


 結論はすぐに出た。


「二度と……もう二度と悪事は働かないと誓う?」


 ジャンヌが野盗に話しかけると、ライルから「おい」という声が聞こえたが、無視する。

 ジャンヌの問いかけに、野盗たちは一斉に、


「「「「「「はい、二度としないと誓います!」」」」」」


 綺麗に唱和して誓いの言葉を口にした。


「皆さんも、それでいいですか?」


 ジャンヌが自警団の連中に尋ねると、誰もが安堵の表情でジャンヌの意見に賛成した。


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