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secret letters  作者:
2/2

1通目〜空色の手紙

私は小田桐 咲。もうすぐ16才。


この春から高校生


私の朝は寝坊助なパパを起こすことから始まる


「パパ!!朝だよ、起きて!!」

「…うー…ん」

「パパってば!!」

「…わかったよぅ…」


よし、これであと10分もすれば自力で起きてくるだろう


その間に家中のカーテンを開けて

トースターに食パンを放り込む

夕べから作っておいたサラダをお皿によそって食パンが飛び出してくる頃


パパはボサボサのままの髪を

ガシガシ掻きながら起きてくる


「…はょう、咲」

「おはよっ」


パパが食卓に着く頃には私の身支度が

全部終わっているのがいつものパターン


玄関を出て郵便受けに新聞をとりにいく


…未だに…

ママ宛にダイレクトメールが届く


苦い思いが心臓のあたりから

頭のてっぺんを一気に痺れさせていく


でもそんなのももう慣れた

ゆっくり息を吐いてまた家に戻る


パパには新聞だけを渡して

ダイレクトメールは私の部屋のゴミ箱


そして私は


「いってきまーす!!」


いつものように家を出る


新しい学校と新しい友達


目を向けるもの全てが新鮮で

毎日の発見に心を躍らせて…


…そんなフリをする毎日


ホントは

ちっとも楽しくなんかない

学校だって行きたくない


でも…パパが心配するから


私は今日も笑顔を作って家を出る


ママが空になった日

『2人でがんばろう』って約束したから


いつもの地下鉄駅

顔なじみの駅員さんに挨拶して

ぎゅうぎゅう詰めの地下鉄に乗って

息苦しい思いをしながら

更に息苦しい学校へ向かう


「さぁきぃーおっはよー!!」

「おはよ、優香」

「お願い!!宿題みせてー!!」

「またぁ;;!?」


一般的な日常

それなりに仲のいい友達と

つまんない授業


教室の窓から見える正門の横の桜が

あの日泣けなかった私の代わりに

静かに静かに泣いてるようにみえた


そして桜はあっと言う間に散って

私の制服は夏仕様になった


そんなある日


「これ…?」


いつもの朝

郵便受けには新聞と…


空色の手紙が入っていた


宛先も送り主も書いていない


ただただ…淡いブルーの封筒


ほんの少し緊張しながら開いてみる


『お元気ですか?』


たったそれだけだった


「…え…これだけ?」


たったそれだけ…

たったそれだけなのに

なんで?

鼓動が速まるのを感じる…


変わらない毎日を過ごしていた私に


空色の手紙が届けられた…

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