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兄、入山

「なぁ…これって鉱山に続く道、なんだよな?」

 行人は目の前の光景に大きくため息をつく。

「ええ、一応そのはず、なんですけどね…」

「確か、未来さんはこの道を進めば鉱山にはすぐ入れると…」

 佐奈とマリィも同様に目の前の光景をただただ茫然と見据える。




 無理もないだろう、三人の目の前に広がるは…





 単純に言うと樹海だ。




「「「はぁ…」」」




 三人は重苦しくため息をついた。




 いざ樹海に足を踏み込んでみるとカビっぽいような高い湿度の空間が三人を迎え入れる。

「どんよりしてますね…」

「そうだな。」

「生き物の気配がないですね…」

「そうですね…」

 佐奈とマリィが話しながら歩いていく中行人が立ち止まり不意に口を開いた。

「いや、いたぞ。」

「本当ですか!」

「よかったです。これで少しは重い気分も軽くなります!」

 佐奈とマリィの顔がぱぁっと明るくなる。

「や、まぁ…いたにはいたな、人間が…」

「人がいるんですか?地元の猟師さんでしょうか?」

「そうだったら鉱山まで案内してもらいましょうよ。」

「あ、ああ…そうだな。」

 歯切れが悪そうに行人は頭を掻く。

「?どうしたんですか?」

「というよりその人はどこにいるんですか?」

「ん?あ、ああ…」

「もしかして見失っちゃったんですか?」

「別に私たちは怒ったりしませんから大丈夫ですよ?」

 佐奈とマリィは優しい目で行人を見つめる。しかし行人はバツが悪そうに眼をそむける。

「見失ってないことは見失ってないんだ…」

「えっ、どこにいるんです?兄さん。」

「え、いや…その…」

「イクトさん、何か歯切れが悪くないですか?」

 マリィがうかがうように行人の顔を覗き込む。

「や、まぁ。なんというかだな…いるんだよ、うん。とりあえずは…」

「何かその言い方だと今もうすぐ近くにいるような感じじゃないですか?」

「や、その通りでものすごく近くにいるんだ…」

「え?兄さん、それってどういうことですか?」

「察して、くれはしないか…」

「ええ、まるで察せないので説明をお願いします。」

「とりあえず目を瞑っていてくれるか?」

「構いませんけど…」

 佐奈とマリィが目を閉じて行人の指示を待つ。行人は下の方で何かを漁っている。





 暫くして行人が重苦しい表情で二人に告げる。

「目を、開けてくれ…」

「もう、そんなに溜められるときになるじゃないですか。」

 そう言って二人が目を開けた瞬間に目の前に合ったのは… 




「これが俺の見つけた人、いや、『元』人だ。」

 行人の手にはしゃれこうべ、白骨化した頭骸骨があった。





「「き、きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」




「あ、おい…」




 二人は悲鳴を上げながらどこかへと走り去ってしまった。




 こうして行人、佐奈、マリィは離ればなれになった。

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