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兄、激昂

 ずかずかとフォスターは店の中に侵入してくる。

「しっしっ、こっちくんな小物っ。」

 舞は舌を出してフォスターに不快感を示す。

「舞ちゃん、めっ。申し訳ありませんフォスター様、本日はどのような御用件ですか?」

 紅が舞を諌めフォスターに話しかける。

「フン、店員くらいきちんとしつけろ。まぁいい、今日は剣を打ってもらうぞ。」

「剣、ですか?フォスター殿。」

「ああ、あのいけ好かない神父を叩き切れる剣を造れ。」

 フォスターは相当苛立っているのか早口で話し始める。

「わ、またスノーの旦那に負けたんだ。あははっ、良い様だね。」

「き、貴様…」

 フォスターは舞の挑発に怒り心頭なようで腰に差してある剣を抜こうとする。

「申し訳ありませんフォスター殿、舞には後で言い聞かせておきますのでどうか剣を収めてください。」

「な、何でですかマスター。こんな小物に何で頭下げんてんですかー。」

「舞。」

「う、すみませんでした…」

 未来の気迫に気圧され舞は渋々フォスターに頭を下げる。

「フン、ならば早く剣を打て。」

「申し訳ありませんフォスター殿。今工房の方に鋼屑しか残っておらずとてもではありませんが剣を打てる状態にないのです。」

 未来が深々と頭を下げるとフォスターは恨めしそうに舌打ちする。

「何!?まったく、使えん屑だな。」

「ちょ、ちょっと!!それはあんまりじゃないですか!!」

 佐奈がフォスターに食ってかかる。

「ん?貴様教会にいたガキ…何か文句でもあるのか?」

「佐奈さん、抑えてください。」

「で、でも…」

「佐奈、未来さんが抑えろって言ってんだ。それ以上首突っ込むとお前の自己満足でみんなに迷惑かけることになるぞ。」

「すみません…」

 行人の一言で佐奈は完全に押し黙る。

「フン、店主が屑なら店員も屑。おまけに客まで屑ときた。下衆な奴らばかりが集まる低俗な店だなフハハハハハハハハハハハ!!」

 フォスターはあまりにも低俗な罵倒を行人たちに浴びせ一人笑う。

「「あ。」」

 紅と舞が口をポカンと開けたその瞬間…




 ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!




「「「!?」」」




 形容しがたい轟音とともに店の扉ごとフォスターが吹っ飛んで行った。




「うっは、フォスター終わったな、くくくっ。」




 舞が笑いながら目をやる先に行人たちも視線を向けると…




「おい、今テメェはなんつった…」




「あ…」




「テメェは今なんつったかって聞いてんだよこの三下がァッ!!」




 吹っ飛ばされ茫然としているフォスターと先程までの小動物のようなオーラではなく悪鬼羅刹のような禍々しいオーラをまとった未来の姿だった。




「ななななななななななな…!」

「あ、あの…できれば説明を…」

「あ、はい。私たちのマスターはある条件下でしか怒ることはないんですけど怒ると本当に恐ろしいと言いますか…」

 慌てふためく佐奈とマリィに説明をする紅。

「止める方法は?」

「この世界でなら止められんのはスノーの旦那だけだよ。何でか私たちには止められないんだよねー。くくくっ、フォスターざまぁみろ。」




「き、貴様ぁ…!!」

 フォスターが怒りにまかせて剣を抜き襲いかかる。

「「危ないっ!!」」

 佐奈とマリィが叫んだ瞬間…

 



 バキィッ

 鈍い音とともにフォスターの件が無残にも折れた。

「け、蹴りで剣っておれるものなんですか!?」

「普通の方には無理だと思いますよ。」

 佐奈の言葉に紅は丁寧に返す。




「鉄でできた剣は斬るためではなく刺すために振るうもんだ。そんな飾りもんの剣でこの俺をぶっ殺せるとでも思ったのか?あぁ!?」

「ひ、ひぃ…」

「弱い犬ほどよく吠えるとはよく言ったもんだなァ三下のフォスターさんよォ!!」

「ガフッ…!」

 未来が脇腹に蹴りを入れるとフォスターのまとっていた鎧が砕けフォスター自身もその場に崩れ落ちる。




「そういやさっきある条件下で怒るって言ってたよな?その条件って…」

 行人は意外にまったりとしている紅と舞に問いかける。

「マスターが怒るのは…」




「テメェ、俺のダチにした非礼を死をもって償え。」




「マスターは大切な方が傷つけられたりした時しかお怒りになられません。」




「「「え?」」」

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