兄、反省
「「申し訳ありませんでした!!」」
佐奈とマリィはメイドに対して深々と頭を下げている。
「あ、あのなんとご説明したらよいのでしょうか、あまりにも美しい外見でしたのでつい女性なのかと…」
「ロリロリメイド…」
「うっ…」
「あ、あの…サナさんをあまり責めないであげてください…別にサナさんだって…」
「10歳…」
「うっ…」
佐奈もマリィもメイドに対して返す言葉も見当たらないらしくただただ謝り続けている。
「あんた、今の状況楽しんでないか?」
「「えっ?」」
行人の言葉に佐奈とマリィが首をかしげる。
「そうですよマスター。それにあんまりいじけていても過去は何も変わりませんよ。」
行人の後に大人し目のメイドも口を開く。
「そんな顔してるとスク水に着替えてもらっちゃいますよ?」
快活そうなメイドが小さなメイドにトドメをさす。
「あ、あれだけは勘弁してっ!!もういじけないから!!」
最大級の破壊力を持っていたのかメイドはすぐにあわてた表情でわたわたとする。
「あうぅ…行人くんが気付くからぁ…」
そして少し恨めしそうな目で行人を見る。
「悪かったな。さっきのことコイツらも悪気があったわけじゃないんだ。ちょっと頭がおかしいんじゃないかってとこもあるがな。」
「ちょ、兄さん…それどういうことです?」
「あ…うん、いいよ。別に怒ってたわけじゃないし。」
「あ、華麗にスルーですか…」
「それでは改めまして…はじめまして、甲斐原未来です。ミクとお呼びください。神父の雪君とは同級生でした。性別は男です。」
「はじめまして、紅と申します。マスターの補佐を務めさせていただいています。こちらの世界ではアカと呼ばれております。」
「やほやほ!!舞って言います。紅といっしょにマスターのお手伝いしてます。いちおこっちの世界でもマイって呼ばれてます!!」
メイド3人がそれぞれ自己紹介をする。続いて行人たちも自己紹介をする。
「大川行人。つっても基本は神父から連絡来てるか。」
「対人恐怖症に関しては初耳だけどね…」
「はじめまして、妹の大川佐奈です。」
「はじめまして、シスターのマリィです。」
「貴女がマリィさん…」
「はい、そうですが…」
マリィを見たまま未来は考え込む。
「どうかされましたか?」
「い、いえ…」
未来は顔を上げて口を開く。
「それで、武器…だよね?」
「まぁ、そうなるな。」
「作って差し上げたいんだけど今手元にある素材ではあまり良質の武器は作れなくて…」
「鉱物がないってことか?」
「申し訳ないんだけどね。」
行人は面倒そうに頭をかき口を開く。
「俺らで採りに行ってくる。」
「ホントに!?」
「ああ、無理言って武器作ってもらうのに任せっぱなしってのもなんかな…」
「それじゃあお願いしよっかな?」
「二人もそれでいいか?」
「ええ、問題ありません。」
「でも目的地は分かるんですか?」
「それは問題ないよ。ホラ。」
マリィの質問に雪は水晶のペンダントを見せる。
「これは強い魔力を持った者に反応する水晶なんだ。あの森には人はいないはずだし多分コイツの示す方へ進んでいけば鉱物にたどり着けるはず。」
そう言ってペンダントを行人に渡す。
「あとは…紅ちゃん。アレを…」
「Yes sir」
そう言って紅が行人と佐奈に渡したのは…
「ラムネ?」
「そう見えるかもしれませんがコレは魔術回路を通すための薬です。副作用はありません。使えるかの素養はまだ分かりかねますが飲んでおいて損はないと思いますので。」
「そうか。それじゃあ飲ませてもらうか。」
そう言って飲みこむ二人。
「後は…舞ちゃん。」
「Yes my master」
そう言って舞は三人に武器を渡す。
「いちお鉱物手に入れるまでの護身用だよ。レンタルだから壊さないでね。」
「ありがとうございます。」
ドンドン!!
三人が出発の準備をしようとしていると乱暴に戸をたたく音がする。それに続き…
「おい、武器屋!!いるのか!!」
「ん?どっかで聞いた声だな…」
行人が首をかしげていると扉が乱暴に空き見覚えのある大男が乱入してくる。
「出た、小物…」
舞があきれた目で見るその先にはフォスターが立っていた。