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樋口と狩りを天秤にかけよ

作者: STORM

実話です。

樋口を賭けた壮絶なバトルストーリー(嘘)

約350万人の人はこれを読んだ結果激怒する可能性があるのでご注意ください。

ある日の休日、友人と遊んでいた時のこと。

オレは某カードをシャッフルし、準備を進めていた時に友人が急に質問を投げかけてきた。

「お前、年末あれ買う?」

あれとは某狩りゲーのことである。

密林でのランキングが未発売にもかかわらず、発売直後のモンスターをボールに閉じ込めて服従させる国民的ゲームを抜いて1位をキープしているほどの作品である。

もはや国民的ゲームへと昇華したそのゲームの新作が、今年の冬に発売する。

オレも中学時代は中学の連中全てを統率し、その頂点に立っていた神プレイヤーだったことを覚えている。

二年前はそうだった。

だが、今は。

「ああ、あれね。買う気ないわ」

「……は?」

「いやぁ、なんかさ、敵もプレイヤーもスピード遅いし、シリーズ重ねるごとに難易度下がっていってるし」

そう。

今のオレは。

全く、そのゲームに対してやる気が起きない。

「なんでだよ。お前中学の時最強だったじゃん」

それは過去の話。

今じゃ、オレは……。

「すまんな、オレはそのゲームに構ってる暇はない」

「買えよ」

「樋口がいない」

「小遣いはいるだろ」

オレの小遣いは月に樋口一葉のブロマイドが1枚である。

「オレの樋口は次のパックを買うのに消え去る」

パックとはカードのブースターである。

1パック5枚入りの150円。

それを1箱買うため、樋口はそれだけで野口の半分の価値へと変貌してしまう。

ちなみに1箱30パック入り。

つまり4500円。

「で、実際の理由は?」

実際の理由はそれじゃない。

先日運よく諭吉を入手したため、買うこと自体はできる。

だが、やる気が起きない。

「さっき言ったとおり、シリーズ重ねるごとに難易度が下がってて詰まんないからだよ、それにモーションの使い回し多いし。あとネットに厨が多い」

「厨?」

この友人はパソコンを持っていない。

ああ、だから厨知らんか。

「気にするな。とりあえず、オレは何を言われても買わない。オレには、新境地を見つけたからだ」

オレの新境地。

それは、神。

神を、喰う。

モンスターを狩るなんてレベルが低いぜ。

オレが達した新境地、そのゲームの制作スタッフがユーザーの声をよく聞いてくれることがオレの関心を引いた。

「オレは神速、神撃、極限まで進化した狩りを求めているのだ!」

そう、オレはもうあの頃には戻れない。

スタイリッシュな剣戟、自由性を求めた弾丸、自らを強化しようと敵を喰らい。

オレはすっかりそのシステムに魅入られてしまっていた。

もう、自由度の低いゲームには戻れない。

もう、スピードの遅いゲームには戻れない。

そして追加ディスクなため、超お得プライスで提供してくれる。

ここまで素晴らしいゲームを、大半の人が見落としている。

恐らく理由は、難易度が高いから。

そのおかげで厨が寄ってこないため、個人的にはそれで良かったりするが。

「そうか。お前は……買わないんだな」

「あの頃のオレは既に過去の存在だ」

厨二的なセリフをさっきからずっと吐きながら述べた。

「樋口を賭ける程の価値を失ってしまったんだ、あのゲームは」

そしてもうひとつ。

「万人受けするゲームを作ったところで、高難易度を求める古参のユーザーは見限るだけなんだよ」

オレは新たな希望を、次なるゲームに託す。

頼んだ、続編では冷やしカレードリンクについて詳細を。

ついでに言うとエリック上田をもう一度出してください。




ちなみに友人が帰るとき、オレはさんざん罵倒された。

その日、1時間に1通は「買え」って言うメールが来る始末だった。


もう一度言いますけど実話です。

もしかしたら自分自身が厨かもしれないです。

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