ドラゴン退治
掲載日:2026/01/10
勇者はドラコンを倒した。
村の家畜を襲い畜産業に大打撃を与えた悪しきドラコン。
「ありがうございます」
村人は感謝し勇者を労いもてなした。
その祭りのような歓待は一週間も続き、話を聞きつけた王の官僚が村に訪れた。
彼はドラコンの遺体を回収しに来たのだという。
なんでもその角は装飾品になり、鱗は鎧に、骨は万病に効くという。
「ただでとは言わぬ」
荷馬車いっぱいに載せた金貨をすべて、ドラコンの代金として村にわたすのだという。
「感謝します」
村の総意によりドラコンの遺体を売り渡した。
これで打撃を受けた畜産を再び始める事が出来る。
村人は喜んだ。
「これだけかあれば、何年かは働かなくてもいいのでは」
若い村人がボソリと呟いた言葉は村人の心に響いた。
確かにあれだけの恐怖と損害を被ったのだ。それくらいは慰謝料代わりとして休んでもいいのでは。村人の誰もがそう思った。
「待ってくれ。ドラコンを倒したのは私だが?」
「では、半分は勇者様の物でよろしいか」
勇者は頷いた。
次の日、村人は祭り騒ぎを行った。
主役は勇者。
彼は棺に入っていた。
ボソリと呟いた若者は心の内で呟いた。
『人が少ない方が、取り分が多くなるのでは』
声にしていないのにもかかわらず
その言葉は瞬く間に村人の心に響いた。




