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転生装置のリュックを学校に忘れただけ

神楽かぐらは、なかなかに理系らしい。


見た目がクールなうえに頭までよいとなると学校の人気者だ。

ただ、サーモンの件までは知られていないらしい。


そもそも学校で神楽かぐらに告白して爆死した、という噂しか新しい学校では流れていなかった。

学校一の美人が、ミスコンで優勝した先輩が、と色々な女子が試しているようだった。

ただ、そのような女子にしたって普段プライベートでサーモンの着ぐるみを一張羅だと思っているとなれば全員退く、そんな感性を持ち合わせているようで安心した。何度でもいえるが、本当に朝食がご飯かサーモンで別れているだけなのだろう。


体つきがいいのは朝ごはんサーモン派だろう。サーモン派は大体運動部だし。朝からタンパク質取るの大事。ついでにビタミンDも取れるから食材としては優秀だ。

それをメインにできるという感性を持ちあわせさえすれば──それが案外一番難しいことなんだろうなと思いながら投稿初日が終わった。


新しい制服2セットと学校用のタブレット等々高校の紙袋に入れてもらって学校を去る。

デジタル教育の進み具合も元居た世界と変わらない、ので、初日だけ思い荷物をもって帰っていた。


「なあ、爽風蘭そぷらさん」

と聞いたことのある声。もちろんその声の主は神楽かぐらだ。

第一印象は最悪だった。しかし、今日ぶつかったあと、そしてクラスメイトから聞いた噂を聞いて評価が覆ってきた。


異性として意識してもいいのだろうか。

よくわからないけど、一回恋愛の駆け引きとかやってみたいな、と彼氏がいたこともないのに私は一回無死をしてみようと決めて前を向いて歩き続ける。


「リュック忘れてます」

次いで出た言葉でハッと我に返った。私のしたことが。もともと転送装置が入っていたリュックサックをクラスに忘れていたらしい。今日貰った制服とかの重さと転送装置の重さが大体一緒だから違和感なく帰るところだった。


「無理もない、親父の転送装置重いですもんね。もしかして、と思ってクラスに寄ってたんです。」


重いだろうから、俺が持ってくぞ。どうせ、別荘に住んでんだろ?と付け加える。

意外とこっちのドジをネタにしないんだな、こういう気配りもプラス要素だよな、と心の中でメモを取る。


神楽かぐらくんは、パラレルワールドの研究はいつからやっていたの?」

「くん付けはやめてもらっていいですか?」


そんな、ちぐはぐな会話が続く。

そもそも私は高校1年生で相手は2年生、年齢も神楽かぐらの方が上。

なのに、お互いの距離感が掴めない、そんな曖昧な関係にモヤモヤする。


「だって、ほら、あんまり考えてなかったけど、神楽かぐらくん。私のお兄ちゃんじゃん。」

「言われてみれば、そう──ですね」


神楽かぐらのクールさは悪く言えば陰キャともいえる。

多分、パラレルワールド研究で私のことを見つけて推し始める。

気づいたらその推しがこっちの世界に転生してきて、ビックリ。


こんな感じかな?と思いそう神楽かぐらに問うてみると、


「間違えないです」


とのこと。

陰キャってことを踏まえるとこの子はヲタっ気が強いのだろう。

なので、一見クールなように立ち振る舞っていても内心先輩とかに告白されて焦っていたのではないだろうか。


ただ、爆死した子たちを傷つけないようにちゃんとフォローしている性格の良さはある。

爆死した女の子すら多くても無下に断割れて泣いた、という女の子のうわさは聞かなかったからだ。


やっぱりこの子のこと好きになれる。


そう思ったとき、ちょうど私たちは今朝ぶつかった交差点に差し掛かった。

本当に別荘まで送っていくつもりだったのだろう神楽かぐらは迷いもなく右に曲がろうとする。


その背中に声をかけた。

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