おおえやま
おじいさんのありがた~い おはなし。
これまでのあらすじ(第1章より)
むかし、むかし、あるところに鬼ヶ島という島がありましたとさ。
そこでは、鬼たちが仲良く、楽しく、島の宝を守って暮らしておりました。
ところが、ある日、島にくさったろうが、やってきました。あまりのくささに鬼たちは鬼ヶ島から、逃げていってしまいましたとさ。
島から逃げ出した鬼たちは、長い旅をして、やっと自分たちが住むのによさそうな物件を見つけたそうな。都からも近く、便利な場所にあるのに格安な物件、ということで、大江山というところにあった古いお寺「酒呑童寺」に住むことにしたそうな。
鬼たちは、その古いお寺を りにゅーあるして、なにか新しい商売を始めることにしたそうな。ところが、何をやったらいいのか。なかなか決まらなかったそうな。
今日も鬼たちは集まって、
「やっぱり 若い子がいっぱいくると、ええな。」
「どれんでぃすぽっとに なればいいんじゃろ。」
「町から さらってくるのか。」
「そりゃ無理だ、また鬼退治がやってくるぞ。」
「おら、くさいのはもういやだ。」
「あれはくさかったなぁ。」
「おれは、山の幸を使った高級料亭で、都のお金持ちに来てもらうといいと思うな。」
「で、誰がその高級料理を作るんだ?」
「町から さらってくるのか?」
「だから、さらうのはだめ」
「おら、酒なら すきだなぁ。」
「お前が飲んでもどうにもならないじゃろ。」
「酒なら、つくれんこともないのう。ほれ、この山には、山ぶどうがたくさんあるのでな。わいんとかつくれるぞ」
「それな、つくっても大将が全部飲んでしまうからなぁ」
そんな話をしているところに鬼たちの大将がやってきた。
「おーっす」
「返事がないな、おーっす。」
「お…っす」
話し合いをしていた鬼たちは、しかたなく返事をしたそうな。
「で、なんか決まったのか?」
と、鬼の大将が、持ってきた「赤わいん」を飲みながら、たずねると、
「はい、若い子が集まる とれんでぃすぽっとと、高級料亭って話と、酒ですかね。」
「酒、いいねえ。」
「大将が飲むんじゃないです。お客さんに出すの。」
「いや、おれは名前が、さけのみ(酒呑)だから飲んでる設定なの。」
「設定?」
「おお、設定は大事なんだ。」
「その設定ってやつのために、持ってきた宝物、みんな売っちゃいましたよ。」
「すぐ、酒買ってこいって、叫ぶし……」
「お前らな おれは、おれは、おれ、おれ、おれ……。」
どこからか軽快なサンバのリズムが流れはじめた。
そして、金ぴかの衣装を着て、白い馬に乗った男が現れて、歌いはじめた。
鬼たちも、みんな一緒に踊りはじめた。
気づいたら、山にいた鬼たちがどんどん集まってきている。
なんか 鬼じゃないものも混じっているようだ。
最後まで歌い終わると、将軍様は満足そうに帰っていった。
「今のは、なんだったんだ?」
「知らないんですか、あれが今、都ではやっているそうですぜ。」
「ふん、で、そこで踊っていた あのじいさんは何者だ?」
「ん?あのこぶとりのじいさん……誰だ?」
「まあ、連れてこい。」
ということで、鬼はこぶとりのじいさんを大将のところに連れてきた。
「いや~、わしも大規模な『だんすぱーてぃ』なんて久しぶりなんで」
「だんすぱーてぃ?」
「わしも 若いころは『まはらじゃ』とか、『じゅりあな』とかで 踊っとっての。ぼでぃこんおねーちゃんに もてもてだったわい。なつかしいの~。」
「ぼでぃこん?」
「音楽がなると、おもわず体が動いてしまうのじゃ。」
「ふん、今の若者たちにも 人気なのか?」
「どうかの~。今はだんすも難しくなっての。頭でくるくる回ったりしとるそうな……。」
「頭で?おれ、角あるから無理。」
「で、だんすが得意なものどうし『だんすばとる』ってのもやっておるそうな。なんか『ぶれーきんぐ』とかいっておったか。」
「大将、これはいけそうですぜ。」
「ん?」
「ここに『だんすほーる』をつくるんですよ。ここなら苦情もこないでしょうし…」
「いや、わしの時代も『だんすほーる』とはいってなかったの『でぃすこ』じゃった。でもな、今どきは『くらぶ』っていうらしいのう。」
「くらぶ?」
「それ、いってみよー!」
また、軽快な音楽が……。今度はちょっと違って 温泉ぽい。
というわけで、鬼たちは古いお寺を「くらぶ」というものに りにゅーあるして
くらぶ「酒呑童寺」としておーぷんさせたそうな。
くらぶでは、その後、毎日おどりつづけて、やせて昔どおりのイケメンに戻った「元こぶとりのじいさん」が、大人気で「だんすばとる」をいどんでくる若者たちを次々に返り討ちにしていったそうな。また、鬼たちの生演奏の評判も良く、らいぶも大人気となったそうな。
くらぶは「だんさーこぶ」と、「おにふたーず」の人気で、ふぁんの娘たちと、ばとると、ナンパ目的の若者たち、わんちゃんねらいのおじさんたちで、大成功となったそうな。
【ごきょうくん】
おじいさんとの約束だよ。
歯みがいたか、宿題やったか、それではまた次回~♪
シリーズ整理中です。
時空を超えてやってくる「きんぴか」のあいつ。