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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
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【1番街の荷降ろし場⑧(The loading dock on 1st Street)】

 ガキが立ち止まり仲間に向かって「撃つな」と叫ぶ。

 今まで踊っていたから奴らもナカナカ狙いが定まらなかったが、動きを止めた事で周囲に銃弾が集中し始めた。

 かなりヤバい状況になりつつあることは、俺じゃなくても誰でも分かる。


「バカ! 撃たれるぞ‼」


 俺はガキの襟を掴んで遮蔽物のある塀際に投げようとした。

 その瞬間、俺の頬に熱い液体が散った。


 “撃たれたのか……?”


 アドレナリンが出まくっている今の状況では、自分自身が撃たれたことにはナカナカ気がつかない。

 動いてみて、いつもと同じ様に動いてくれない部位があることに気がついて初めて撃たれたことに気がつく。

 動いてみると俺の体は、問題なかった。


「小僧‼」


 名前は聞いていないので分からないが、負傷しているかも知れない子供に向かって「ガキ」と呼ぶのは余りにも不謹慎だと思い「小僧」と呼んだ。

 呼ばれた小僧は、唇を紫色に変えて動けないでいた。


 小僧を塀まで放り投げると言う俺のプランは、とん挫した。

 “クソッ、最高の見せ場だったのに!”

 俺は小象を左手で抱え、右手に持ったM1911を奴らに向けてブッ放す。

 この反撃で一旦激しかった銃声が鳴りをひそめる。


「どこを撃たれた⁉」

「えっ、ああ……」

 小僧は、かなり動揺しているらしく、どこを撃たれたのかさえ分かっていない。

 しかし小僧を抱えていた俺の左手には、血がべっとりと付いていた。

「背中を見せろ」

 そう言いながら、小僧が動く前に俺の手が勝手に小僧を回していた。

 背中一面は滴るほどの血で濡れていた。

 だが血が流れ出しているのは、背中ではなく、その上。

 小僧は後頭部に銃弾を受けていた。


 よく見ると、貫通しているわけではなく銃弾は皮膚をかすった程度。

 皮膚がパックリ開いて、少しエグられた頭蓋骨が見えている。

 頭部の怪我は、思った以上に大量の血が出るのだ。


「大丈夫、病院に行ってホッチキスで止めてもらえば直ぐに治るから、動ないでジッとしていろ」

「動いたら、どうなるんですか⁉」

「皮膚が捲れて、オマエの顔は無くなってしまう。だから勝手に動くな」

「は、はい」


 小僧にそう伝えて落ち着かせ、携帯でビルに直ぐココまで来るように言った。

 まあ正確にはビビらせて、勝手に逃げ出さないように下って言うのが本音だ。

 こういったガキは、チャンと捕まえて更生させなければならない。

 ここで逃がしてしまうと、また闇の世界に戻ってしまい、将来手の付けられない大物になってしまう。

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