表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
7/37

【1番街の荷降ろし場⑦(The loading dock on 1st Street)】

 ガキが突進している間、他の奴らの銃声は止んでいた。

 少しは仲間思いな所もあるらしいが、そもそも仲間を大切に思うならガキ一人だけで突撃なんてさせない。

 一応、手には小さな拳銃を持たせているみたいだが、撃つたびに銃本体から変な火花が飛び散っているところを見ると、この拳銃は所謂サタデーナイトスペシャルと言うやつなのか。(※サタデーナイトスペシャル=安物の拳銃の事。ジャンクガンとも呼ばれる)


 銃を撃ちながら全力疾走で走って来るヤツは、相当手慣れた奴か阿呆かのどちらか。

 まあこのガキは幼いから仕方がないが、100パーセント相当な阿呆に部類されるのは間違いない。

 理由は全力で走り、急激に血圧が上がってしまうと、まず自分が撃った弾の数なんて数えられない。

 その点俺はさっきからガキの行動を眺めているだけだから、ガキが持っている銃が何なのか、そして今までに何発撃ったのかチャンと把握している。

 もっともガキが持っているオートマチック拳銃なら、全弾打ち尽くすとスライドがオープンしたままになるので、よく見ていれば直ぐに分かる。

 ただ問題なのは、オートマチック拳銃は慣れていなくてもマガジン交換は意外に素早く出来るからコッチも急がなければならないってこと。


 ガキが6発目を撃った時、素早く埠頭の通路に飛び出した。

 スライドはオープン状態。

 やはりヤツは、弾を撃ち尽くした。

 これから新しいマガジンを装填するまでに……と思っていたら、ガキは持っていた拳銃を俺に向かって投げやがった。


 野球をやっていたのかバスケをやっていたのかは知らねえが、銃は下手なくせに投げた拳銃は正確に俺の顔面目掛けて飛んで来た。

 顔に当たる前に、腕で投げられた拳銃を防ぐ。

「痛ぇなコノ野郎‼」

 いくら小型拳銃でサタデーナイトスペシャルだと言っても、鉄の塊には違いない。

 造りが悪くてスライドの隙間から火花が飛ぶような粗悪品でも、当たった時の居たさは正規品と何一つ違わない性能を持っている。

 “ガキのくせに、そのことを見抜いていたのか⁉?”


 生意気なガキには、大人がチャンとした社会の仕組みを教える必要がある。

 お仕置きやお説教みたいな上から目線ではなく、事実を見せてやるだけ。

 俺は口が上手い方ではないので、“説教をしろ!”と言われた方が困る。

 ガキを相手にダンスを踊ってやる。

 まあガキの方は俺を倒す気満々なようだが。

 カルメンか⁉ と、言うくらいカスタネットの代わりにパンパンと銃声の演奏が盛大に奏でる。

 ガキの方も最初こそ俺を倒すのに夢中で気がつかなかったらしいが、俺がヤツの繰り出したパンチの拳をギューッと手で握りしめてやったとき初めて自分が餌として使われていた事に気がついたらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ