【少女の想い(A Girl's Thoughts)】
とうとうグランドファイナルです!
今まで読んで下さった方々、本当に有難うございますm(_ _"m)
サミュエル君は暫く考えた後、自身の間違いに気付いてくれた。
自分がするべきことは復讐ではなく、改革だと言う事を。
2人で改革について話し合った結果、彼はSNSによる虐めや誹謗中傷を戒めるAIを搭載した全く新しいSNSを立ち上げると私に言ってくれた。
このアイディアならクラウドファンディングは勿論、政府からも補助金が出るはず。
さすが天才!
「僕なら出来る。だって、そういった事にもともと興味があるんだから」
「アナタなら出来るわ、きっと」
私の応援に、彼は一瞬キョトンとした目で私を見て「どうして?」と聞いた。
私は胸を張って自信満々に答えてあげた。
「だってアナタは実際に酷い虐めに合い復讐しようとまで追い詰められたのに、その気持ちを克服できたのだから、もう出来ない理由は何処にもないでしょう?」と。
そして更に、ドラマCCS犯罪捜査班の天才科学者アダム・クラインは間違った道を進んでしまい、神様から与えられた能力を皆の役に立てないまま終わってしまったけれど、アナタは違うと言うことを。
そして私は今まで隠していた事を打ち明けた。
私はある人に頼まれてアナタを探していたこと。
私に、頼んだ人は、アナタのお母さまから頼まれたこと。
そして依頼内容は、アナタの将来に傷がつかないように警察には連絡しないで、事件が起こる前にアナタを止めること。
「そんなこと出来るわけがない!」
サミュエル君は、そのような依頼内容を受けた探偵さんについてクレイジーだと言った。
だから私は、世の中には本当に困っている人のために働くことが出来る人が居るものだと言って、彼の前に手を出した。
彼は私の手がなにを意味するのかを察して、鞄の中から銃を取り出して私の手の上に置いた。
私はそれを自分のバッグに仕舞い、サミュエル君をマックスさんに合わせるために彼の手を取り「さあ、行きましょう」と言った。
サミュエル君も、気持ちが楽になったのか、どんなお人好しなのか見に行こうと言ってくれた。
“お人好し”
たしかに彼の言う通り。
いくら家族から依頼を受けたと言っても、マックスさんにとってサミュエル君は赤の他人。
しかもこんな物騒な拳銃を持って家を飛び出した。
ひとつ間違えれば、夕方のニュースで “コロンビア大学、銃乱射事件!死者〇人‼” なんて見出しが出てもおかしくはないし、止めようとしたマックスさん自身も命を落としていたかも分からない。
いや、命を落とさなくても、もし事件が起きていれば、事前にその可能性を知りながら警察に通報しなかった罪で咎められるのは間違いないはず。
そうなれば折角取得した探偵免許も没収されてしまう。
外に出ると学生たちを必死に止めようとしているマックスさんが見えた。
きっとマックスさんは、私がサミュエル君と一緒にいて彼を説得しているのを知っていた。
そして私が上手く彼を説得できると信じてくれた。
だから中には入らず、私の身の安全を守るために外野が入ってこないように見守ってくれていたのだろう。
「さあ、ココからは、ひとりで行って」
「君、ついて行ってくれないの?」
「もうさっきまでの弱虫な子供ではないはずよ」
「……う、うん」
「あとは、お人好しな探偵さんが上手くやってくれるわ。彼を信じて!」
サミュエル君は、分かったと言って、繋いでいた手を自ら解くとマックスさんの方に歩んで行った。
私は役名のまま、消えるべきだと思った。
今回はタマタマ上手くいっただけ。
逆にマックスさんに余計な心配を掛けてしまった。
そして私が戻れば、マックスさんは必ず銃の処理に困るはず。
おそらくコノ拳銃は登録されたものだから、勝手に捨てることはできないし、マックスさんは探偵だから拳銃を処分する権限はない。
かと言ってサミュエル君を信じないわけではないけれど、彼の家に戻すとは考えられない。
幸い私の伯父は、警察官。
ニューヨーク市警の敏腕刑事ピーター・クリフォード警視。
この拳銃は拾い物として伯父に預けよう。
伯父なら屹度、上手く処理してくれるはず。
私の名はレベッカ・キャンベル。
今度会う時は役の名前やメイクをしていない、素顔のままの私で会いたい。
いつかまた。
屹度……。
この物語は、私の投稿小説(毎週月曜日と金曜日の2回連載中)の『“最高にダサい男”私立探偵マックス・ベル』の、前の物語となりますので、コチラの方もよかったら読んでみてください(^▽^)/




