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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★コロンビア大学拳銃乱射事件(Columbia University shooting)
36/37

【大丈夫?(Are you okay?)】

「どうして僕たちを止めるんですか? シネマサークルの僕たちが、僕たちの部の部室に戻るのが何故イケナイのですか?」

「探偵に、そんな権限があるのですか?」

「事件なら、チャンと警察を呼べばいいじゃないですか!」

 部員たちを止めようとしたところ、彼らは口々に文句を言った。

「だから、もう少し。もう少しだけ待ってくれ!」

「待つのにはハッキリとした理由が必要でしょう⁉ 一体何があったんです?」

 さすがにコロンビア大学の秀才を相手にして、俺の脳みそは追いつかない。

 ここで、ぶん殴って言うことを聞かせるのは簡単だが、そんなことをしてしまうのは正義とは言えない。

 ここは面倒でも、のらりくらりと時間を稼ぐしか手はない。


「興味のあることを直ぐ調べられるのって楽しいよね」

「そう!それに興味が湧いた時だからこそ、吸収力が半端ないわ。アダム君は、何に一番興味があったの?」

 彼の本名はサミュエル君で、アダムと言う名前は偽名だと知っている。

 けれども、ソレを言うと話がややこしくなるばかりか、折角溶けかけている彼の心に嫌な刺激を与えかねないから彼の前ではアダムと呼ぶしかない。

「僕は電子工学に興味があったんだ」

「使っている機器やシステムそのものね」

「だよね!」

 彼は明るくそう答えたが、その答えこそが私には果てしない希望だった。


「世の中にはSNSによる虐めだけではなく、誹謗中傷に苦しんでいる人が多いと聞くわ。中には自分で抱えきれなくなって自殺してしまう人も……」

 私の言葉にサミュエル君は、少し言葉を荒げて言った。

「自殺なんてナンセンスだ! そう言うやつ等には、復讐してやればいいんだ‼」と。

 私は言葉のトーンを抑えたまま、復讐と自殺の違いを聞いた。

 彼は言った。

「自殺したって虐めるヤツは何とも思わない。そればかりか、必ず次のターゲットを狙うんだ」

 私は聞いた。

 復讐した先には、何があるのかと。

 彼は黙った。

 だから私は言った。

 復讐も、自殺するのと同じ行為だと。

 結局、復讐して虐めた相手を殺めてしまえば、自分自身を牢屋にと閉じ込めてしまい社会的に抹殺されたようなモノなのではないのだろうかと。

 彼は黙ったまま、何かを考えている様子だった。

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― 新着の感想 ―
サミュエル君!! 冷静になるんだ! キミの頭なら分かるはず!!
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