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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★コロンビア大学拳銃乱射事件(Columbia University shooting)
28/37

【男と女②(man and woman)】

♂協力してくれる少女には、とりあえず若干14歳の天才少年サミュエル・ゴールドバーグを見つけて俺に知らせる所までで、それ以降は必ず現場から離れることを条件として提示した。

 先ずはソノ連絡のために俺の携帯電話の番号を教え、次に彼女の名前を聞こうとしたときに、たまたま通りかかった上級生らしき女子のグループが「あっ、シーナだ!」と彼女の名前を読んで笑顔で手を振った。

 知り合いなのか、彼女のほうも笑顔で手を振り返していると、奥の通りを歩いていた男子学生のグループも気がついて「シーナだ!」と彼女の名前を呼んでいた。

「じゃあシーナ、悪いけれど君の番号も教えてくれ」


♀マックスさんが電話番号を教えてくれたので、その番号を打ち返そうと思っているとき通りかかった下級生の女子のグループに「シーナだ!」って声を掛けられた。

 そう言えば私はマダ『CCS犯罪捜査班Ⅱ』のシーナ中尉役に扮したまま。

 他の学生からも次々にシーナと呼ばれては手を振られ、私も掛けられた言葉に快く応じて笑顔を向けて手を振り返していたところマックスさんに言われた。

「じゃあシーナ、悪いけれど君の番号も教えてくれ」と。

 “えっ⁉”

 シーナは役名で、私の名前はレベッカ。

 レベッカ・キャンベルよ! と、言い返したかったけれど、マックスさんから「ナカナカ良い名前だ。君によく似合っている」とまで言われた後では訂正しにくくてそのままにしてしまった。

 “ひょっとしてマックスさん、いま人気のアクションドラマ『CCS犯罪捜査班』見ていないの??


♂一旦シーナと別れて坊主を探す。

 他の学生にも声を掛けようかと少し思ったが、なんだかそう言った行為は“浮気”に値すると思ったし、それに彼女のような絶対的に信用できる人に当たるとは限らない。

 口の軽いヤツや信用のおけないヤツに当たってしまうと、事が事だけに取り返しのつかない事にもなりかねない。


 “初めて会ったばかりだと言うのに、なんでそれ程までに彼女を信頼できるのかって?”


 これは刑事の勘ってヤツ。

 彼女は俺が本気で裏切らない限り、絶対に俺を裏切ることはない。

 “本気”を付けた訳は、少々の裏切りなら勘弁してくれる寛容さを持っているから。

 だけど俺は少々でも裏切るようなことはしない!

 っま、深く考えるまでもなく彼女と俺は10以上も歳が離れているから、その様な深刻な裏切りが起きる仲にはなりそうもないが……。


♀マックスさんと別れてから私は部室に向かった。

 とりあえず頂いた花束を置いて行きたかったから。

 花束を持ったまま、サミュエル君を探すのはどう考えてもおかしい。

 ついでにコンタクトを外して、カツラも取りたかったけれど、それは止めた。

 せっかく可愛いと言ってもらったのに、普段通りの赤毛に眼鏡でマックスさんをガッカリさせたくなかったから。

 部室の鍵は掛かっていなかったので、中に入る。

 人数分の鍵はないからドアの鍵は掛けていない。

 その代わり、ロッカーのカギは掛かっているから、一応は大丈夫。

 中に入ると、朝ココを出たときよりも何だか少し散らかっているような気がした。

 撮影中に誰かが何かを探しに来たのかなって、その時は思っていたが何だか違う気もした。

 人の気配がする。

「誰⁉」

 思わず声を掛けて、失敗したと思った。

 声を掛ける前に退路を確保しておくべきだった。

 そう思ったときには、もう遅くて、入り口のドアの鍵が中から閉められる音がした。

「誰なの?」

 私は花束を置いて、代わりに携帯電話を取り出した。

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― 新着の感想 ―
ちょっと不穏ですね。
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