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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★コロンビア大学拳銃乱射事件(Columbia University shooting)
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【ある美少女②(A pretty girl)】

 渋滞を抜け、ようやく大学に辿り着いた俺は、真っ先に地下鉄の警備室に向かい、そこで大学口方面に向かう映像を見せてもらった。

 一応、正式な探偵の資格を持っているものは公的資料の回覧等が出来るようにはなっているが、民間のセキュリティまで立ち入るのは難しい。

 だが俺は元刑事だから、事件の捜査でこのように監視カメラの映像を見せてもらうことも多かったし、その担当者とも好い関係が築けていたから案外スムーズに映像を確認させてもらえることができた。

「オマエさんが刑事を辞めたって聞いて正直少し寂しい気もしていたが、こうして図々しくセキュリティルームに入って来られるとやっぱりウザいな。ところで探偵って言うのは犯罪の捜査なんかもするのか?刑事よりも儲かるのか?」

 なんて俺の後ろで軽口を叩いているのは、駅の警備主任。

 俺は映像を確認しながら「儲からないが自由はある」と答えた。


 1000人前後も居る大学構内で、あてもなく坊主を探すのは至難の業。

 しかも居るか居ないかも分からない状態では、時間だけを取られてしまう結果になり兼ねない。

 駅にある監視カメラ。

 特に大学の正門前口に向かって行く人だけなら数も限られるし、凡その時間の範囲も狭い。

 そう思って映像を見ていると、今から4分前の映像に、それらしい人物が大学方向に向かって行くのが確認できた。

 “ビンゴだ‼”

 これで坊主が本当に大学に居るのは間違いない。

 あとは事件を起こす前に、彼を捕まえて縛り上げて、車に詰め込むだけだ。


 協力してくれた警備主任に礼を言って、部屋を飛び出る。

 後ろから「また顔を出せよ!」と声を掛けてくれるたが、俺は好きでこんなことをやっているわけではない。

 勘違いされては困るが、面倒なことは誰しも嫌なことに違いなく、では何故やっているのかと言うと、それが答えを出すためのプロセスの一部だからだ。


 一応大学構内の見取り図はコピーしてきたし、坊主が今日どこで何の講義を受けるのかも母親から聞いてきた。

 彼の受ける講義は、午後の遅い時間。

 午前中に家を出て、午後の講義まで銃を持ったまま学内をフラフラするなんてことは通常在り得ない。

 おそらく坊主の目的は、自分をイジメていた奴らへの報復。

 だが、この手の事件によくあるように、母親は自身の子供がイジメにあっていることは薄々気がついているもののイジメを行っている者が誰なのか迄は知らない。

 広い校内を俺一人で探すのは心もとない。


 “これは、協力者が必要だ!”

 と、思っているときに目の前の通りを横切って行く女子学生に目が留まった。

 スリムな長い脚にピッタリと張り付いた白い皮のズボンに、同じ色のハーフシューズを履き、上は少し丈の短いアイボリー色のトレンチコート。

 ポニーテールの黒く長い髪は太陽の光に艶やかに光り輝き、その大きな黒い瞳はまるで子リスのようにコロコロと動いていた。


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― 新着の感想 ―
「その大きな黒い瞳はまるで子リスのようにコロコロと動いていた。」 この表現にクスリ!としてしまいました(*^。^*)
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