【ある美少女①(A pretty girl)】
パパパパパンッ‼
銃撃の音が響き、拳銃を持った警察官が次々に倒されていく。
「フハハハハ、バカめ! お前たちのような普通の人間が、俺のような天才に勝てるとでも思っていたとは笑わせるぜ‼」
「くそ~っ! やはり我々では歯が立たないか……」
建物の影に隠れて歯ぎしりをする警察署長。
その時、1台のマスタングが止まり、車の中から防弾用のボディースーツを着た1人の女性が飛び出してきた。
「うおぉぉぉぉ~~~っ」
真っ黒な髪をポニーテールに纏めた若い東洋系の女が、叫びながらマシンガンのような拳銃を持っている男に突進する。
腰に付けたホルスターから拳銃を抜くこともせず、左手には棒のようなモノが握られていた。
「小癪な!」
男が、向かって来る女に向けてマシン銃を撃ち放つ。
走る女の近くの地面には、銃弾による幾つもの砂埃が立つだけではなく、幾つかの弾は女の着ているボディースーツに掠り傷をつけていく。
しかし女は敵の放つ銃弾を物ともせずに突き進み、相手の傍まで近づくと左手に持った棒を右手に持ち替えると電光石火一閃!真横に振りぬいた。
男の体はくの字に折れ曲がり、突き出した口からは胃液が飛び出す。
「く、くそう……きさま何者だ……」
「CCS犯罪捜査班、シーナ中尉。悪事は許さないから、覚えておくがいい」
シーナ中尉のポニーテールに結ばれた長い黒髪が風になびき、黒い瞳がくの字に折れ曲がり今にも倒れそうな男を冷たく見下ろしていた。
「わすれ…な・い」
そう言うと、男は倒れた。
「はい、カット‼」
折り畳み椅子に座った大学生らしき男子がそう言うと、映像撮影用のカメラの隣にいた同じ年頃の男子がカチンコを鳴らして「レベッカさんクランクアップです」と言った。
その言葉を合図に、同じく学生らしい女子がシーナ中尉に扮していた学生に花束を渡す。
「ワオッ!まるで本当の俳優さんみたい‼」と、渡された女子が花束を受け取り、ありがとうと皆に礼を言うと監督らしき男子が「好い演技だったよ、ありがとう。」と言いレベッカと言う女子を労う。
レベッカは衣装を着替えるため、少し丈の長いジャケットを羽織り、映画研究会の部室に向かった。
彼女は、役のために付けていた黒い瞳のコンタクトレンズは早く外して眼鏡に替えたかったが、黒髪のカツラは結構気に入っていたので直ぐに部室に向かうのは惜しいと思い、少しだけ校内を歩くことにした。




