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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
14/37

【辞職(Resignation)】

 結局俺は考えた末に、刑事を……いや、警察官を辞めることにした。

 そしてピーターのデスクに行き、テーブルに辞表を置いた。


 ピーターも薄々感付いていたようで、やはり辞めるのかと言った。



「おいマックス、銃を寄越せ」

 その日の朝一番にピーターに言われた俺は、ヒップホルスターから官給品のグロック17を抜くと彼はそれを受け取り、もう一丁のも預かっておくと言った。


 俺がショルダーホルスターからバックアップガンとして許可を受けているS&Wボディーガード380をぬくと、それではなくベルトの後ろに直接挿しているヤツだと言われた。


 仕方なしに腰の後ろに手を回してM1911を抜いたが、一応これはプライベート用の銃だと言ったがピーターは事件で使用しておいて今更プライベートガンだという言い訳が通用するとでも思っているのかと言って手を伸ばしてきた。


 ピーターが言っているのは、俺が捕まえた犯人たちに逆裁判に掛けられた先の事件でのこと。

 あの事件で俺は官給品であるグロック17も、バックアップガンとして使用登録を得ているS&Wボディーガード380も全く使用していない状態で、NY市警に使用許可を得ていないM1911を使用した。

 銃自体はチャンと民間人として所持する登録は得ているから法的に何の問題はない。

 だが警察と言う組織の中では問題は大ありなのだ。


 官給品の拳銃は州によって異なるが、NY市警では官給品としてグロック17かグロック19のどちらか好きな方を選ぶことが出来る。

 もちろん使用する9mm×19パラベラム弾も支給される。

 次にバックアップガンだが、コレはどんな拳銃でも許可されるわけじゃない。

 登録できるのは、官給品と同等もしくは威力が低いものという条件がある。

 自腹で買って使うのに、面倒な条件だが決まりは決まり。

 だから俺のバックアップガンは9x19mmパラベラム弾より威力の劣る.380ACP弾を使用するS&Wボディーガード380な分けだ。


 これらに対して俺がプライベートで持っているM1911は45APC弾を使用する。

 45APC弾の威力は.380ACP弾の2倍以上もあり、9x19mmパラベラム弾よりも1.5倍以上もある。

 だから45APC弾を喫水線上に8発も食らったボートは、逃げることもままならず簡単に沈没した。


 強力な45APC弾が使えるM1911はその昔、警察の正式拳銃として認められた時代もあったが今はアメリカのどの州でも使用は認められてはいない。

 理由は強力が故に、殺傷能力が高すぎるから。

 現代は悪党だからと言っても、簡単にその命を奪っていい時代ではない。

 どんな悪党にも人権があり、裁判で有罪になるまでは一市民として法で守られるべき対象者。

 そして俺たちは、その法の手足。


 ピーターはこれから先、一般人として生きて行くからにはこのような強力な銃を所持していると法で守りにくくなると、警察を辞める俺の今後の事も気遣ってくれた。

 俺は観念してピーターが伸ばした手の上に、M1911を置いた。

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― 新着の感想 ―
おおおお 色々勉強になります!!(#^.^#)
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