表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
13/37

【ダーティー・マックス(Dirty Max)】

 裁判に駆り出された後も署内の査問委員会でコッテリ絞られた。

 何で麻薬密売ルート1件の解決に貢献した俺が、しかも身内から目の敵のように絞られないといけないんだ?

 もしかしたらNY市警自体が麻薬密売ルートと密接な関係でもあるのかと疑いたくなるような錯覚に陥る。


「マックス! アンタどういうつもり⁉ そんなに戦争がしたいのなら、刑事を止めて軍人になればいいのよ‼」

 更に厄介なことは、同棲しているミランダもアノ事件以来不機嫌極まりない事が俺の心に追い打ちを掛ける。

 ミランダには前の旦那との子供が1人いる。

 子供はまだ7歳。

 旦那は元交通課の白バイ隊員で、5年前に逃走車を追跡中に交差点から飛び出してきた車と接触して殉職している。

 刑事としての華々しい活躍は死と隣り合わせであり、多感な7歳の子供への影響も考えると俺にあまり派手な事をして欲しくないと思う気持ちも分かる。

 だが刑事である以上、俺はベストを尽くさなければならない。


 そう、刑事として続けるなら……。


 俺は一時的に捜査から外されてしまったが、ピーターが根気よく犯人たちを個別に尋問して奴らの親玉に繋がる事実を突き止めてくれたおかげで、事件は大きな成果を上げることが出来た。

 ピーターの尋問術と、その分析力はまさに神業。

 事実と言うやつはナカナカ変えようがないが、嘘と言うやつは角度や視点を変えることによって矛盾が生じてしまう。

 そして嘘の裏側には必ず事実が隠されている。

 彼は根気よく尋問を続け、隠されていた事実を見つけ出した。

 ピーターはそのことを自慢するでもなく、俺の手柄のように上層部に報告した。

 つまり俺が犯人の誰一人として殺さなかった事によって、得られた情報だと。

 

 ピーターの言葉を真に受けた上層部は、手の平を返すように俺をヒーローだと褒めたたえた。

 だが彼ら上層部のキャリア組の奴らは知らない。

 一度失われた信頼関係を元に戻すことの難しさと、ピーターの類まれなる尋問術を。

 エリートのお前たちが何年尋問したとしても、ピーターが暴いた事実を見つけ出すことはできなかっただろう。


 ご機嫌な上層部の連中と共に手の平を返したのはマスコミだった。

 新聞の見出しには “NYのダーティーハリー、麻薬カルテルを一網打尽‼” と書かれていた。

 誰がダーティーハリーだ?

 そもそもハリー・キャラハンはサンフランシスコの刑事と言う設定じゃないか。

 しかも俺は事件の最初の部分しか携わっていないばかりか、犯人たちに告訴されマスコミや上層部に叩かれて干されていたというのに……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そうそう!! いかにもご都合主義のマスコミや上層部ですね! ピーターグッジョブ!!(*^^)v
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ