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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
12/37

【1番街の荷降ろし場⑪(The loading dock on 1st Street)】

 裁判の争点となったのは、どちらが先に銃を撃ってきたのか。


 そんなこと記録用の監視カメラが無くったってわかる。

 ヤクザな連中が10人も居る所に拳銃をぶっ放しながら近付いて行くヤツなんて先ず居ないと思っていたら、そういうイカレタ野郎が一人いることが弁護人たちの証言で露わになった。

 その人物とは、俺のこと。

 敵の弁護人たちは次々に俺の過去の所業を暴露した。


 俺って凄ぇ。と、思いながら聞いていると、隣にいるピーターに肘で小突かれ、身から出た錆だと注意された。


 更に敵の弁護団は俺の持つ銃M1911にも言及し、警察御用達のグロックとかベレッタと言った9ミリタイプを使わずに、より強力な45口径のM1911を使うことによって一方的な殺戮を行ったとほざいていた。


 “くだらねぇ”

 とは思ったものの、陪審員たちはまるで汚物か何か汚いものを見るような目つきで俺を見ていた。


 つまり奴らの主張はこうだ。

 奴らは所謂世間から見放され今はチンピラとして暮らしていることは認めたものの、あの埠頭にはただ屯していただけで、そこに俺が現れて銃で身動きを封じたあとにまやくを置いて行ったのだと。


 そんな無茶な話が通るものかと思っていたが、周りの雰囲気は俺が思うのとは全く違い、俺に厳しい目を向けていた。


 沈没した船から同じ成分の物が積まれていた痕跡は科学捜査班により解明されているが、乗組員たちは事件以来姿を晦ませていて、それも俺が持ってきて船に乗せたあとに銃で撃って沈没させたのだと主張しやがった。


 たしかに船を沈没させるために銃を撃ったことは認めるが、順番が違う。

 しかし、その順番を証明できるものは何もない。

 あのとき小僧が撃たれずに、ボブが俺の指示通り埠頭に車を止めていればドライブレコーダーに全てが記録されているはずだったのに……。


 不利な状況は続き、このままではヤバいと言う時になってようやく小僧が現れて全ての事実を話してくれた。


 小僧の頭の傷は45ACP弾によるものではなくチンピラたちが持っていた22LR弾であること、俺の衣服には小僧が撃たれた時の血痕が残されていること、更に車載カメラに俺たちが小僧を助けて車に乗せるまでの記録が残されていたことで時系列は正しい順番に整理された。


「小僧、逃げ出したくせに何故戻って来た?」

 俺の問いに小僧は「このまま逃げていたら、一生逃げ回る人生を送らなければならないだろう?」と生意気なことを言った。


 “まだ子供のくせに、俺よりもしっかりしていやがる”

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