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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
10/37

【1番街の荷降ろし場⑩(The loading dock on 1st Street)】

 全員を倒し終わったと思っていたら、倉庫の中に隠れていたピックアップトラックが急に走り出した。

 簡単なミッションは、物足りない。

 そうこなくっちゃ!


 俺をひき殺そうとでも思ったのか、トラックは俺に向かって来た。

 俺は1回転して車を避けると、急加速して埠頭を左方向に逃げようとしているトラックの左側にある2つのタイヤ目掛けて銃弾をお見舞いしてやると、車は急に後輪が右に流れ派手に横転した。

 タイヤスモークと鳴り響くクラクションの音。

 “映画やドラマのような、最高の幕引きをありがとう”


 全てが終わったころ、けたたましいサイレンの列が到着した。

 慌ただしいのは御免なので、引継ぎを済ませたあと体が痛いと嘘をついて早々にエスケープをきめた。



 翌日、俺の元相棒で今は刑事課長のピーター・クリフォード警部のオフィスに呼ばれた。

 そう言えばピーター、昨日は現場に来なかったな……だからスンナリ帰ることが出来たんだ。

 俺が彼のオフィスに入るとピーターは開口一番に何故応援の到着を待てなかったのだと強い口調で言ってきたので、俺は応援が来るのを待っていたら奴らが逃げるのを指をくわえて見送っていた事になっただろう事と、現行犯逮捕だから文句はないだろうと返した。

 しかし期待していたピーターの表情は柔らかくはならずに、一層険しさを増した。


 俺が何かあったのかと聞くと、ピーターは今のところは何もないと答えた。

 だが、証人に居ないのは困る。とも言った。


「証人が居ないって、現行犯だぜ⁉」

「ああ、確かにな……で、誰がその現行犯を証明してくれる?」

「そ、そりゃあ……」


 誰も居ない今は使われていない埠頭と、同じ様に廃業したまま放置されている貸し倉庫。

 居たのは犯人の他には刑事が2人。

 しかし犯人逮捕時には、その2人のうち1人は負傷した小僧を病院に連れて行って居なかった。


「しかしぶつは確かに有ったでしょう⁉」

「ああ確かに……しかしな、それを運んできたとされる船は沈没してしまって、今のところ物を運んでいたことを証明できない。おそらく海から引き上げるまでに波に洗われて、その痕跡は何も残っていない可能性もある」

「しかし……」

 なにも返せない。

 家宅捜査だって、近所の住民を締め出すこともなく、逆に見てもらっている。

 裁判官に同行してもらう事だってある。


 なんてこった‼

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