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探偵マックス・ベル短編集(Detective Max Bell)  作者: 湖灯
★ブルックリン区、1番街の荷降ろし場事件
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【1番街の荷降ろし場①(The loading dock on 1st Street)】

 ブルックリン西部にあるアッパー湾に面した寂れた港の1番街。

 今は殆ど使われていない荷下ろし場の一角。

 あちこち剥がれたコンクリートの道に、窓ガラスが割られたままの貸倉庫、潮風にヤラレて赤黒く錆びた鉄骨。

 物影に隠れて置かれた車。


 この場所には赤く燃えた寂しい太陽と、強い風それにトレンチコートと煙草が良く似合う。

 車のドアが開き、運転席にいた男が降りる。

 男は朽ちかけた建物の角までユックリと歩を進めると、角の手前で止まった。

 トレンチコートの襟を立て、背中を壁に押し付け首を直角に曲げ、角の向うの様子を窺うように覗き見る。

 だが角の向うには人も車もなく、あるのは朽ちかけた貸し倉庫と船の泊まっていない埠頭だけ。

 男はコートのポケットに手を突っ込むと、1本の煙草と銀色に光るブリキ製のライターを取り出して火を点けた。

 白い煙が灰色の雲に掻き消されてゆく。


 遠くから船が近付いて来る。

 船の姿は見えない。

 船は警備の厳重な南からの侵入を避けて、比較的警備の緩いロードアイランド島の北に出て、東からイースト川を抜けて来た。

 男は自分が思っていた通りに事が進んでいることに口角を上げ、吸いかけの煙草を携帯灰皿に押し込むと、代わりにコートの中から拳銃を取り出した。


 M1911。

 コルト社製、強力な45ACP弾が使用できる通称ガバメントと呼ばれるモデル。

 男はM1911の撃鉄ハンマーを起こし、安全装置を降ろし、インカムで話した。

「現行犯で押さえる」と。

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― 新着の感想 ―
 面白そうな出だしですね❗(人´▽`*)♪  しかしもと敏腕刑事の頭の中はお花畑で笑えました。  でもモテないんだろうなあ。笑  これからどんな物語が展開するのかワクワクさせてしまうオープニング。  …
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