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魔王の旅立ち
本編スタートです
平和。
城下町は今の季節、祭りの準備で忙しいが、人々は活気に溢れていた。
そんな祭りの影響は、城下町から少し離れた村「アスラント」にまで影響を与えていた。
アスラントの名産品は酒。毎年とれる葡萄をつかった酒が評判になっている。
そんな酒屋の息子、新羅 真王はまだ村の小さな小学校へ通う小学生だった。
だが彼は酒屋の仕事を手伝うことが多く、まじめでいい子だった。
ある日、城下町まで酒を運ぶ仕事を任された真王は手伝いを終え、
城下町からアスランドへ帰るところだった。
もう日が傾き始め、真王は少し気味が悪くなってきた。
父親から「ここら辺は魔物がでるから気をつけるんだよ」と言われているからだ。
ブルブルっと体を震わせて
急いで帰ろうと顔を上げて、一歩踏み出したとき
前方にルビーのように
血のように
赤い
赤い『火』が見えた。
まるで村を覆いつくすような大きさ。
真王は走り出した。
将来の魔王の一歩はここからだった。