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プロローグ
「まぁ。見事な紫水の髪。あの子が教皇さまなの」
「なんて神々しい」
「前教皇様とは比べものにならない魔力をお持ちだそうよ」
「魔力が多いとは言え、こんな子供に」
重たい豪奢な法衣に身を包み、少女は噂をしている人々をチラリと横目で見て、すぐに前を向いた。
慣れたものだ。齢七つと言えど、聞き飽きた言葉だった。人々が恭しく手を合わせ、祈る姿を眺めながら、少女はぼんやり空を眺めた。
漆黒とまではいかないが、今夜は月が出ていない。元いた世界には月が1つだったので、この世界の輝く2つの月だけは、何度見ても新鮮で綺麗だった。
雲が消え、月が顔を出すのを少女はひたすら願っていた。




