船が沈む話
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがおりました。
お爺さんが山へ柴刈りへ向かうと、一匹の狸が家へやって来てお婆さんに話しかけました。
「婆さんオレだよ、オレ」
「たかしかい?」
その後なんやかんやあって、お婆さんは狸に殺されてしまいました。
「激おこぷんぷん丸」
お爺さんはおこです。復讐すべく兎法律相談事務所へ向かいました。
「ハンムラビ法典」
兎は狸を懲らしめるべく、さっさく行動に移しました。
「あそこの山まで薪を運べば金一両」
「おk」
狸は金に目がくらみ、薪を背負います。
すると兎は火打ち石で薪に火をつけました。
「カチカチ聞こえましたが?」
「耳鼻科行け」
狸はそのまま歩き出しましたが、やがて背中が熱いことに気が付き、薪を投げ捨てましたが既に背中は二度の火傷を負っており、寝るのもやっとのことでした。
「金二両で薬」
「すぐポチる」
狸は貯金の全てをなげうって、変装した兎から塗り薬を買いました。
しかしそれは辛子でした。
言葉にするのもはばかれる様な罵詈雑言を大に、狸がのたうち回ります。兎はそれをSNSに投稿し、再生数で小銭稼ぎに走ります。
「何をするにも銭が無い」
「船を貸してあげるから魚を釣ると良いよ」
兎は狸に船を貸しました。
「感謝……!!」
狸は泣きながら船に乗りました。
「出航!」
船が進むと、目の前に氷山が迫ってきました。
しかし操舵手は居眠りをしていて気が付きません。
すぐに船は氷山にぶつかりました。
転覆する船、逃げ惑う乗客達。我先にとボートへ人集りが出来ました。
「金一両で優先的に乗れますよ! 待てない人はもっと出して!」
タヌキの一声で金が飛び交い始めました。
あっという間に大金を稼ぎ風呂敷いっばいに金を詰め込んだタヌキでしたが、最後のボートすら人に渡してしまったので、ついには自分も沈んでしまいました。
哀れなタヌキは金の重さで浮かぶことも出来ぬまま、暗い海の底へと沈んでゆきましたとさ。