表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

船が沈む話

作者: しいたけ

 むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがおりました。

 お爺さんが山へ柴刈りへ向かうと、一匹の狸が家へやって来てお婆さんに話しかけました。


「婆さんオレだよ、オレ」

「たかしかい?」


 その後なんやかんやあって、お婆さんは狸に殺されてしまいました。


「激おこぷんぷん丸」


 お爺さんはおこです。復讐すべく兎法律相談事務所へ向かいました。


「ハンムラビ法典」


 兎は狸を懲らしめるべく、さっさく行動に移しました。


「あそこの山まで薪を運べば金一両」

「おk」


 狸は金に目がくらみ、薪を背負います。

 すると兎は火打ち石で薪に火をつけました。


「カチカチ聞こえましたが?」

「耳鼻科行け」


 狸はそのまま歩き出しましたが、やがて背中が熱いことに気が付き、薪を投げ捨てましたが既に背中は二度の火傷を負っており、寝るのもやっとのことでした。


「金二両で薬」

「すぐポチる」


 狸は貯金の全てをなげうって、変装した兎から塗り薬を買いました。

 しかしそれは辛子でした。

 言葉にするのもはばかれる様な罵詈雑言を大に、狸がのたうち回ります。兎はそれをSNSに投稿し、再生数で小銭稼ぎに走ります。


「何をするにも銭が無い」

「船を貸してあげるから魚を釣ると良いよ」


 兎は狸に船を貸しました。


「感謝……!!」


 狸は泣きながら船に乗りました。


「出航!」


 船が進むと、目の前に氷山が迫ってきました。

 しかし操舵手は居眠りをしていて気が付きません。

 すぐに船は氷山にぶつかりました。

 転覆する船、逃げ惑う乗客達。我先にとボートへ人集りが出来ました。


「金一両で優先的に乗れますよ! 待てない人はもっと出して!」


 タヌキの一声で金が飛び交い始めました。

 あっという間に大金を稼ぎ風呂敷いっばいに金を詰め込んだタヌキでしたが、最後のボートすら人に渡してしまったので、ついには自分も沈んでしまいました。

 哀れなタヌキは金の重さで浮かぶことも出来ぬまま、暗い海の底へと沈んでゆきましたとさ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんか、船が思ったより大きかった。 それにしても、兎が相変わらずエグいですね。 兎がこんなに悪役(?)になるのって、このお話くらいなのでは。
[良い点] 愉快痛快なしいたけ昔話。 現代社会にも通ずる永遠のテーマが今風にアレンジされています。 [一言] 昔話でもそうですが、兎自身は特に被害被ってないけど楽しんでやってて、今だと法律の知識悪用…
2024/03/02 10:28 退会済み
管理
[一言] 原作を踏襲しつつも、確固たる個性を確立している(謎の上から目線)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ