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10万円でOK! 【その2】

これは業者トラブルの社会問題をモチーフとしていますが、全くの創作ストーリーです。特定の具体的モデルケースはありません m(_ _)m

 



 恐怖で固まりながら振り向いた私の目に、幽霊は映らない。


 嗚呼・・・・


 これが幽霊だったらどんなに。



 絶望が私を襲う。



 私は薄々察していた。私の身に降りかかったこの窮地の真実を。


 そうでは無いことを望んでいたけれど。



 幽霊の方が100万倍マシだった。貞子の方が全然ウェルカム。


 ────ううん。落ち着ついて、私。


 まだ決まったわけじゃない。そうよ、まだ望みはある。



 私の現実逃避の心が、楽観論を無理やり描こうとするけれど、生物としての本能は根底にて察している。


 ゴクリと喉が小さく鳴った。



 ────このままでいるわけには。



 私は動きを最小限に、薄闇の中、再び電気のスイッチに腕を伸ばした。



 ────決して刺激してはいけない。



 頭の中では赤い光がチラチラ回転して、緊急アラートがビービー鳴り響いてる。今起こっている現象の、次なる一触即発性を知らせてる。



 ───わかる? 今の私は薄氷を踏んでいる状態なのよ。私の一挙手一投足が、この先の運命を変えるの。



 慎重に、慎重に、落ち着くのよ、私────



 カチッ‥‥



 硬直した体から伸びた指先が、スイッチを押した刹那、急な明るさに一瞬目が眩んだ。


 数秒後、ゆっくり目を開いた私の目に入るのは、やけに白々しい眩しさの白い壁。


 さっきまでの居心地よい洗面所とは感触が全く違ってる。



 ゴクッ・・・・・



 覚悟を決めた。



 ─────いざ鎌倉!!



 ゆっくり振り向けば、洗面台のミラーに、首だけ振り向いた私の後ろ姿があった。



 そしてかすかに残されていた私の期待は、やはりただの希望論だったことを知った。


 私の左肩の後ろには、親指ほどの大きさの・・・・



「ギッ、ギャァァァァァァァァァーッ!! イヤァーーーーーー!!」



 誰か、誰か助けてぇぇぇーーーッ!! (>ω<。)



 私の肩の後ろで、じっとしながらも長い触角をふよふよさせてるコイツはッ!!



 部屋に行かれたらおしまいだッッ!



 私はそれを背中に乗っけたまま、先ほど出たばかりのお風呂場に飛び込んでササッと扉を閉めた。


 ハァ、ハァ、ハァ・・・・


 究極の緊張感と戦慄。不本意にも3歩で息が乱れた。耳の奥に響いて来る早鐘の鼓動。けど。



 ────よっし、第一関門はクリアしたわッ (๑•̀ㅂ•́)و✧



 キッチンやリビングとか寝室に侵入されたら最悪だもん。取り敢えずお風呂場に閉じ込めちゃえば、一時的に救われるの。


 私は私のこの咄嗟の判断力と勇気に対し、自分を自分で褒め讃えたい。



 ヤツはまだそこにいる。私の背中に。私には見えていなくとも位置が分かるのよ。


 張り詰めた感覚が、普段には無いシックスセンスを私に与えてくれている。髪を右肩から前に寄せた。


 一応目視で毛先を確かめた。 ・・・よし、ついてない。大丈夫。小さく頷く。



 この調子で頑張ろう。この悪夢の夜を乗り越えて見せるわ。


 慎重に丸首体操服の脇に片手を突っ込み、アイツを刺激しないよう、そっと左右交互に腕を慎重に内側に抜いた。そのまま首から抜くように上に引っ張って脱いだ。


「ヒッ!」


 白い丸首体操服にくっついた黒光りのそれは、そのままそこにいた。思わず下に投げ捨て、風呂場から飛び出て扉をガッと閉めた。


 ────お父さん、お母さん 助けて! (。>_<。)


 涙がじわっと滲んで来た。


 こんな真夜中だけど、優しいお父さんとしっかり者のお母さんなら、きっと車で駆けつけて助けてくれる。お母さんなら、丸めた新聞紙の見事な刀さばきで、こんな虫の一匹、二匹、瞬殺してくれるはず。


 寝室にあるクローゼットの引き出しからスペアの体操服を引っ張り出して、被って頭と両腕を通す。


 親に電話しようとスマホを手にしてハッとした。


 ────待って、それはダメッ!! 悪手だよ。



 この暮らしを始めるにあたって、私は順調にここまで来たわけじゃない。


 女の子の一人暮らしは危険だからって両親からは相当反対されたのよ。もしここで助けを求めたら、『ふっふ、そ〜ら見たことか』って連れ戻されてしまうかもしれないの。


 やっと念願の一人暮らしを始められた矢先なのに。



 えっと、他に助けてくれそうな人は────?



 こんな真夜中に連絡するなんて、いくら友だちでも迷惑過ぎるよ? 私だって、こんなことで真夜中12時過ぎて呼び出されそうになったら友だちやめると思う。


 彼氏? 残念! こんな時に限っていないってば 。゜(゜´Д`゜)゜。


 まだ入社したばかりだし、流石に同僚にもそこまで親しい人はいないよ。


 どうしよう・・・・



 あっ! そうよ、こういう時は、じゃじゃ~ん、物知りな検索エンジン、ベーグル先生に聞いてみよう!



 ***



 ─────さすがネットは頼りになるね。その手があったんだ!



 藁にもすがりたかった私に差し出されたシルバーライニング。


 この会社、24HいつでもOKみたい。しかも700円からって、すごくリーズナブルじゃない? でもって、最短20分で害虫駆除のプロが駆けつけてくれるなんて神だよ。


 見積もり無料って書いてあるし、ここに今すぐ電話してみよう。このままでは到底寝られないもん。





                                続く!




さてさてどうなる? ( ´ー`)φ‥‥‥

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